記念もの
□依存宣言
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「―――京極堂…」
「やあ、おはよう」
目を開けると、そこには京極堂の顔があった。
私は酷く汗をかいていて、体がやけにベトベトして気分が悪い。
「本当に、君は馬鹿だ」
「うるさいよ」
京極堂は少し呆れたような顔になったが、すぐにいつもの仏頂面に戻る。
私の上に覆い被さるような形になっていた京極堂がすっと身を引くと、眩しい光が感じられた。
どうやら、もう夕方が近いらしい。
「毎度毎度、引き戻してくる僕の身にもなってくれ。
これで一体何度目のタダ働きだと思っているんだ」
京極堂は隣に自分の隣にあった和綴じを引き寄せた。
相変わらずの凶悪な顔で、和綴じの頁をめくる。
「高校時代のも勘定にいれるつもりかい?」
「当たり前じゃないか。
まぁ、それを入れなくとも、君の場合家が一軒建つ位の借りがあるとは思うがね」
「大袈裟な」
そうは言ったが、実際、京極堂に毎度引き戻してもらっているわけだから、私はまともに反論できない。
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