記念もの
□こころやすし
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木場は、私とはかなり違った性質の人間だ。
古書肆だって探偵だって私とは全然違うけれど
がっちりした筋肉
四角い顔付き
手だって一回りも二回りも大きさが違う。
隣にいたら、弟に間違われる。
弟のようなものだ、と木場は言うが。
「なんでぇ?ジロジロ見て?」
「何でもないですよ」
木場の隣は、安心する。
特別優しい言葉をかけてくれる、なんてことは全然ないけれど、何とは無しに、安心感があるのだ。
その太い腕に寄れば頭を笑いながら撫でてくれるし、
がっしりとした背中にもたれれば話掛けてくれる。
広い胸板に飛び込めば優しく抱き留めてくれる。
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