勿忘草を君に

GAME.04
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「薫」


レギュラーの座は諦めないと、乾に宣言した海堂を、普段からは想像もつかないくらい冷たい声が呼び止めた。


「碧依先ぱ……っ!?」


不思議に思った海堂の言葉を遮ったのは、乾いた破裂音だった。


「な、何するんスか!?」

「貴方こそ何してるの?」


いきなり頬を叩かれたにもかかわらず、海堂は碧依に詰め寄るどころか、逆にその静かな声音に唾を飲み込んだ。


「ラケットは人を傷つけるための道具じゃないわ。ましてや自分を傷つけて……一生テニスができなくなってもいいの?」


静かに淡々と、しかし真剣に語られる碧依の言葉に、海堂は口を開く事すらできない。

大げさだと思いながらも、反論など許される空気ではなかった。


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