勿忘草を君に
□GAME.04
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どれくらいそうして見ていただろう。
勝ち誇った表情のリョーマが、海堂のスネイクを決めた。
「しかし……あれは」
「バギーホイップ・ショット、ね……」
すでに碧依は完全に仕事のことを忘れ、リョーマと海堂の試合に見入っていた。
リョーマが海堂の十八番であるスネイクを打ったことによって、コートはどよめきたっている。
碧依と手塚のすぐ前では、乾が大石に海堂のスネイクについて説明している。
そう、会場がざわつくのも無理はないことで、技術の要る海堂のスネイクは昨日今日で打てるものではないのだ。
「納得いかないって顔してるわね」
「少し気になることがあってな」
それだけ言って碧依のほうを見た手塚は、何かを言いかけて、途中で止めてしまった。
「国光?どうしたの?」
「いや、碧依なら知っているのだろうが……今はいい」
「そう?変な国光」