fragment

文章にならなかった散文たち。
◆RPG. 


月夜にきらめく金髪。

「君を探していたんだ」

舞い上がる桜に奪われる視界。

「っ、これ…!」

あらがうことのできない力に、雲雀の意識が遠のく。

「目を覚ましたら、なんて呼んでもらおうかな」

闇夜に消えた雲雀。そして金髪の男。




「そんなことありえない…!」

金色のナイトがプリントされたカードを投げ捨てると、骸はテーブルを叩いた。

「あの、雲雀くんが…!」

赤と青のオッドアイに怒りと不安がにじむ。

「許しません。絶対に…」

穏やかな西日に照らされ、磨き上げられた槍がきらりと光った。





雲雀恭弥奪還作戦、開始。















サクラクラクラ病で妄想ぱーと2。
RPG板。

囚われの雲雀さまと勇者骸さま。
でも、1869。
ラスボスは金髪のあの人。
シャマルなんかもつるんでラスボス組。
うほほほ。

2012/04/07(Sat) 23:27 

◆RPG 

「君を探していたんだ」

月の逆光の中に立つ男。

「誰、」
「そうだな…。師匠?いや、美しくないな。うーん…。ボス、とか、どうかな?」
「は?」
「まぁ、そんなことどうでもいいんだけど」

ざぁっと風が吹き抜け、桜の花びらが舞う。

「っえ…」

視界がぐらつく。
雲雀が支えを探して手を伸ばすと、いつの間にか近づいていた男がその腕を引き寄せた。

「ゆっくり調教してあげるよ」

意識が途切れる直前、雲雀の目には満月に照らされた金髪が映った






カタン、

「恭弥?いつも言ってるでしょう。窓から入るのはやめてくださいと…」

2階の窓が半分だけあいている。

「あれ、恭弥?」

骸は窓辺に置かれた小さなカードに気付いて、拾い上げる。

「金色のナイト、」

『黒猫はいただいた』

箔押しされたチェス駒のナイトが月明かりにきらめく。

「黒猫…」

2012/04/07(Sat) 23:12 

◆むしよけ 

「まだ機嫌が悪いんですか」

眉間にしわを寄せたままの雲雀が、ソファにドカッと腰掛ける。

「恭弥…?」
「むくろ、水」

雲雀はソファに横たわると、シャツの襟を緩めた。

「っは…、あっつ…」
「はい、」
「うん…」

頬を赤くして熱い息を吐く。

「シャツ。熱い、」
「はい、」

骸はふたつ空いたボタンの、さらにその下をはずしていく。

「はっあ…、」
「氷、いります?」

雲雀はストローのささったグラスを右でゆらして一口すってから、要らないと手をふった。

「家にこもっていればいいものを」

ため息半分で、骸が呟いた。

「気に食わない…、じゃない。金髪の、馬面が…はぁ、その辺うろうろしてるなんて…」
「それでいいように煽られて、この様ですか」

骸は雲雀の頭に乗っていたヒバードを抱き上げると、ついていた花弁をとって窓の外へ捨てた。

「…」

もう少し自己管理をしてほしいと、この時期には毎年言っているのに一向に落ち着く気配はない。

「自分が何に対して耐性がないかくらい、いい加減わきまえてください」

「…わかってる、」

君がどこで怪我をしようと、どこで倒れようと勝手ですけど、と言外に言いつつ骸は、雲雀の額の髪をかきあげた。

「僕が他の誰かと会うのがそんなに嫌なら、ここに住めばいいだけでしょう」

現れた額に口づけて、骸は雲雀の目を見つめて言った。
いつもは強気な目が顔のほてりにつられて、少し潤んでいる。

「、ふん」

ばつが悪そうに顔をそむけると、ふいにグラスを置いて、自分の頭上をぽんぽんとたたいた。

「ひざまくら、」

ひとこと言うと、またちらっと骸を見上げる。

「はい」

骸はうれしそうに微笑むと、雲雀の頭を抱えて自分もソファに沈んだ。
薄いボトム越しに雲雀の熱が伝わる。

「恭弥、桜のいい香りがしますね」

嫌味ともとれるような一言に、雲雀は子供っぽく抱きついて返事をした。














子ども返りしたように暴れたり、甘えるひばりさん。
サクラクラクラ病、どんなふうになるのなぁ。
熱が上がって、ふらふらになって、骸ちゃんに介抱されればいい!
それもいろんな虫が骸たん目指してやってくるからいけないんだみたいなのだと、すごく、すごーく悶える…!

2012/04/06(Fri) 01:35 

◆1st。 

「ねぇ、」
「なんでしょう」
「なんで君がそれ着てるの」

クロームが軽く羽織ったカーディガンを指さし、雲雀は眉をひそめた。

「僕も着れるからに決まってるじゃないですか」
「その、僕ってのも、やめてくれる?気持ち悪い」

一言一言、わざとらしく突き立てるように発してみても、クロームは雲雀の方を向きもしない。

「いい加減、言いがかりはよしたらどうですか。男の嫉妬は見苦しいですよ」

クロームは手にした雑誌から目線だけあげて雲雀をみやる。
挑発的な視線に雲雀の眉が跳ね上がった。

「内臓だけじゃなくて脳味噌もいかれてるストーカーに言われたくないね」
「おや、心外です。僕と骸様は一心同体ですから。僕を非難するということは骸様に対しても悪態をついていることになるんですよ」
「悪いけど、骸と君みたいなできそこないを一緒にしないでくれる?」

部屋の空気がしんと静まり返る。
と、ふと、携帯の着信音が鳴った。

「・・・ふん。ま、今日のところは見逃してあげるよ。次、骸の服着てたら速攻で咬み殺すから」

雲雀は携帯のフラップを閉じると、ひらりと窓から出ていく。
その顔には不敵な笑みが浮かんでいた。

「チッ・・・」
クロームは爪をかむと、自分の携帯を開く。
メールも、着信もない。


熾烈な戦いは、はじまったばかり。









1869←クローム♂
ドロッドロにしたい。この3人。

2012/03/20(Tue) 23:14 

◆つくられたもの 

「すみません」
「・・・」
「あなたを傷つけるつもりはなかったんです」
「・・・」
「どうしても、同じになりたくて・・・」
「クローム、」
「・・・骸さま」
「僕のあげた身体が、そんなに気に入りませんでしたか」
「!!!ちっ、ちが!そんなんじゃ・・・!」
「君の内臓一つ一つ、サイズや形まで神経尖らせて作ってあげたんですけどねぇ」
「む、むくろさま・・・!」

ここにきて、骸、やや有利。












前回のクローム♂化その後。
体を作り変えたことを骸さんに責められて、しょんもりなってればいいとおもう!
病みまくりクロームもいいけど、犬耳はえてそうな、ご主人様大好き!なのもいい。
骸さんはそれをわかってて精神的にいじめたおせばいいとおもう!!!

2012/03/07(Wed) 00:26 

◆体質 

「君、そんなめんどうな体質持ってたの」
「僕だって知りませんでしたよ」
「え、自分の体でしょ?」
「そうですけど!っ・・・」
「薬は?」
「の、飲みました・・・。が、あまり効かないようで」
「それも、体質、か」
「もう、ほっといてください・・・。君とのおしゃべりはおなかに響くんですよ・・・」
「じゃあ、そんなことで丸まってないでこっちにおいで」
「雲雀くん・・・。君、僕の話聞いてました?」
「あ、動くと痛いんだっけ?しょうがないな、」
「・・・・」
「ちょっと、どいて」
「ちょ、恭弥・・・。う、い、いた・・・!」
「ホラ、こっちすわって、」
「え?」

「はい、だっこ」
「恭弥?」
「腰、温めれば少しはマシになるんでしょ」
「・・・!」
「こうしたら、そんなぺらっぺらな布団にくるまってるよりあったかいでしょ」
「・・・人肌であっためようなんて、どうしたんですか。雲雀くん」
「別に下心なんてないよ」
「そういう方が怪しいですよ」
「じゃあ何。ベッド、骸の血でまみれるけど。いい?」
「よくないですよ」
「じゃあ、素直に僕からのやさしさを受け取るべきだよ」
「・・・わかりました。疲れたので、僕は少し寝ます・・・」
「はいはい。おやすみ」




















骸さん♀化。
月のものがはじめてきたらどうなるのかなってもうそうしたらこうなった。
超痛い上に、痛み止め効きにくい体質でベッドで丸くなってうめいてればいいとおも。
きっと下半身血まみれで雲雀さんは大興奮すると思うんだけど、脳内そのまま書きだしたら規制くらいそうな中身になったので自重した。
そしたらこうなった。
会話文だけなので妄想力をフル活用してお楽しみください!

2012/03/05(Mon) 22:49 

◆かけら 


ワイングラスがテーブルから落ちた。
薄いガラス片が弧を描いて床に散らばる。

一番大きな破片を拾うと、自分の主の手を取った。

「クローム、」

ようやく私に気付いたらしい。

幻覚の世界では、自分が認識しようと思わなければ気付かないままでいられる。
彼はずっと、私に気付かないふりをしていた。

自我を持つように言われた時から、私はずっと彼を慕ってきた。

同じものを食べ、同じものを見て、同じことをして。
いつ、どんな時も隣にいたかった。
でも、どうしても越えられないものがあった。

内臓を失ってから、私の体は本来の性別の働きはしていない。
ならば。

「ようやく気づいてくれたんですね、骸様」

かつての私より、低い声が愛しい名前を紡ぐ。

「お慕いしております、」

体がどうなるか自分でもわからなかったけど、どうやらうまくいったらしい。
視界は、彼を少し上からとらえている。

「何故、体を」

私は彼の右手の甲に口づけた。
そして、薄い皮に歯を立てる。

「いっ…!」

強い力で私の手を振り払おうとするが、今の私は通じない。
えぐられた手の甲から鮮血が滴る。

私は持っていたガラス片で彼の手をつかんでいる自分の左手を切った。
流れでる血を手のひらに伝わせて、彼の傷ついた手の甲へたらす。

「これで、僕たちはひとつです」

甘美な彼の血の匂い、自分の濁った血の色。

彼のすべてに陶酔する。


なれない一人称も、すぐに身につく。


もうすぐ、骸様とひとつになるんだから。












クローム♂化。
実はちょっと前から考えていたのですが、やっと形が見えたのが昨日。
ネタ提供は相方。
クローム♂だと、もっとグロいの、血まみれを書きたくなるのは何故かしら。

2012/02/27(Mon) 17:32 

◆りんごとキャラメルとはちみつ 

おもむろにベーグルを半分にスライスして、トースターに入れた。

「それ、来月の15日に発売なんだよ」

と、ちょっと得意げに話していた彼。
まだ試作品だからと、持たされるがままもらってしまった。

彼のベーカリーは、本当においしいパンを焼く。
月に1種類新商品が並ぶため、飽きも来ない。

リビングに煮詰めたリンゴとキャラメルの香りが漂う。
この間、彼に抱きしめられた時のことを思いだす。

「ああ、この匂い、」

忙しいことを理由にしばらく会えない日が続いていたのは、こういうことだったのか。

彼に会えるのは、次の定休日。











綱吉がパン屋さんを経営していたら。
と、ふっと思いついて、書いたらこうなった。
きっと、普通のデニッシュよりもベーグルとか、ちょっと手のかかるパンをつくってそう。
知る人ぞ知る隠れ人気店的な存在に(笑)
所連はもちろん。骸さん。

2012/02/22(Wed) 22:25 

◆花束を 

しとしとと冷たい雨が降る。
昼間は温かい日差しの差し込んでいたリビングも、今はひんやりとした空気がただよう。

やわらかいブランケットを膝にかけてソファで本を読んでいると、不意にドアベルが鳴った。

「はい、」

答えて玄関のドアを開けると、雲雀くんが立っていた。

「どうしたんですか、」

雨にぬれたのか、黒髪が艶めいてる。

「これ」

つい、と花束を渡された。
薄い茶色の紙に包まれた花束は、少しも雨にぬれていない。

「雨、ふってるから。君が暇だろうと思って」

花束を胸元に寄せると、青いバラと雲雀くんの香りがふわりと香った。
僕は、濡れた彼の肩を引き寄せる。

冷たくなった頬は、少し甘かった。

2012/02/22(Wed) 08:06 

◆彼の、 

テーブルに一輪のバラを飾る。

もちろん、本物の花なんて買えなかった。

まだ自分には、すこし背伸びをしなくてはいけないような気がして、恥ずかしくて。


時計の針はもう午前2時を指している。
彼の誕生日を2時間も過ぎてしまった。

気付かなかった自分が悪いのだが、さっさと寝てしまった彼もいかがなものかと思う。

こっそりベッドサイドへ行くと、かすかな寝息がする。
ドアの隙間から差し込んだ光に金髪が光る。

特に接点もないのに、いつも面倒なくらいに関わってくる。
猫のような人懐っこい笑顔と、誰からも愛される天性のリーダー気質。
でも、致命的な欠点をもった彼は、一言で言ってしまえば子供っぽい。

彼の寝ているベッドサイドに腰掛け、柔らかい髪を撫でる。

寝顔にみとれてしまう。
いつもより大人っぽく、色気があふれている。
日常のふとした瞬間に見せる大人の彼とも、少し違う。

彼の枕元にも、バラの花をひとつ、手のひらから落とす。


寝ている彼の胸を貫いたら、このバラと同じ真っ赤な鮮血があふれる。

少し前の自分なら、何も考えずにそうしていた。
思考回路の隅、幻覚から有幻覚にするぎりぎりのところでそれをシュミレーションしながら、彼の頬に手を添える。



「・・・あなたの命日を祝うのは、もう少し先に取っておきます、」



頬に唇をよせて呟くと、骸はそのままキスをした。



「お誕生日、おめでとうございます。ディーノ」

2012/02/03(Fri) 02:40 

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