school

□2月・3月
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「は?何言ってるんですか。子どもじゃないんですから屁理屈言わないでください」
変なところで反応することも、背中にくっついてくることも、最早いつものことなのであまり驚かない骸は、背後に雲雀をくっつけたまま器用にさらにパスタを盛り付けていく。
「はい。できましたからリビングに持っていってください。僕はグラスを用意しますから」
「うん」
暖かな湯気とともに体を温まる唐辛子の香りがキッチンからリビングへとのびていく。
用意されたグラスには雲雀が買ってきたビールが注がれ、きれいな黄金色が光に反射する
きれいに磨かれたカラトリーが乾杯の合図の後に動き出すと、2人の夕食が始まった。雲雀の思惑を隠したままにして…。

――――――――

夕飯後、後片付けも終わり、骸と雲雀はソファでテレビを見ている。
流れているのは昨年放映されたイタリア映画。
全世界でヒットしたこの映画は今年その続編が放映されらしく、その番宣のために放送されていた。CMになると雲雀がおもむろに口を開く。
「ねぇ、さっきの食べたいんだけど」
「あぁ、Toppoですか?ちょっと待ってください」
雲雀の言わんとすることが分かった骸はキッチンのラックにしまっておいたそれを取りに行く。
「この時間に食べるなんて、太りますよ?」
嫌味っぽく笑って言う骸に非難の視線を送ると、雲雀はパッケージをあけながら骸の尋ねた。
「Toppoゲームって知ってる?」
「なんですかそれ。聞いたことないですよ」
ぴりぴりと袋を破って中身を取り出す雲雀の指先を見つつも、耳にしたことのないゲームの何興味がそそられる骸。
「僕もゼミで聞いただけだからよく知らないんだけどね、試してみようかと思って」
「ふーん。どうやってするんですか?」
テレビではCMはすでに終わり、映画の本篇が流れているが興味は完全に雲雀の言葉に向いている。骸は先を促すと、雲雀の手にあるToppoをつつく。
「プレイヤーの片方は目を閉じるんだって。何があっても開けちゃだめらしいよ?開けたら負けなんだって」
「こう、ですか?」
骸は言われるがまま目を閉じておとなしく手を引っ込める。が、次の一言で、さすがに骸も雲雀の行動に疑念を抱き始めた。
「次は口をあけるんだよ」
「なんか怪しくないですか…?」
「しょうがないじゃん。これがゲームの準備なんだから」
「でも……うっ!!」
あんまり渋る骸に痺れを切らした雲雀は、骸の唇を下からなめ上げる。驚いた骸が反射的に口をあけると、そこに細い棒が一本押し込まれる。
―甘い。これはToppo…
本来なら怒るところだが、口に銜えさせられた甘い桃の香りのせいで反抗する気も溶けていく。そんな様子を見た雲雀は口角を上げると、骸に気づかれないようにゆっくりとソファを移動し骸のすぐ隣に腰を下ろす。
「ん?ひょうや・・・?」
雲雀が自分のすぐそばに移動してきたことはわかるが、Toppoを銜えたままなのでうまくしゃべれない骸。
目も開けたくてたまらないが、「開けたら負け」という雲雀に言われたルールに縛られ開けることができない。
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