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□ミッション、下克上
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今日は5月5日。
世間一般では「こどもの日」。

六道骸は自分と一緒に住んでいる子どもみたいに気まぐれな恋人のことを考えていた。
――ついにきましたか、この日が!
自室に籠って早1週間。卓上カレンダーには今日の日付に赤い丸が大きく付いていて、目の前のデスクには高く積まれたほんの山がそびえ立っている。「ふたりごはん」「ブログで大ヒット☆スタミナ料理」「簡単!5分のごちそう」など、レシピ本が並んでいるすぐ横には、「彼ともっと×××になりたい!」「100人に聞いてみました!男性が好む○×△」と、蛍光ピンクのあおりが書かれた女性向け恋愛特集雑誌が数冊広がっている。
――準備は完璧です。さすが僕!今夜は恭弥と…
ピンク色の妄想が果てしなく骸の部屋に充満していく。外では鉄壁のポーカーフェイスの骸も自室では、特に、今日は頬がだらしなく緩んでしかたがない。
――いっつもいっつも下に敷かれてあられもないことを強要され、一方的にあんあん言わされて!見てなさい。今夜はそうはいきませんよ…
 毎日のようにベッドに組み敷かれ、好き勝手に弄ばれて追い詰められる自分を思い出し、そっと涙をぬぐうがそれも一瞬。すぐにその整った顔に不敵な笑みを浮かべると、夕飯の買い物をするべく妄想の溜まった部屋を出ていった。

『ミション、開始。』
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