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□あまえてもいい?
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何でこんなことになったのか。

今の自分を鏡で見てげんなりしながら、今日何回目かのため息をつく。
「なかなか…すごいね」
ディーノは自分の予想を大きく上回る骸の姿に開いた口が塞がらない。
「あの…」
後ろを振り向くと、おろしたままの長い濃紺の髪が揺れる。
身に付けているのは深緑のイブニングドレス。ご丁寧に、普段はない胸まで付けている。いわゆる特殊メイクのひとつで、首の部分がホルターネックになっており、繋ぎ目がわからないように黒革のチョーカーをしている。
「すごくいいな…」
「なぜ女装など」
オッドアイで目の前で正装をしている金髪の男に不機嫌を訴える。
「だって骸、なんでも言うこと聞くっていったじゃん」
「…あなたの誕生日ですから。でもだからって…!」
「そんな怒んなよ」
もともと線の細い骸がドレスを着ると、もう女性にしか見えない。
「もう脱いでいいでしょう?食事もいったことですし」
今日はディーノの誕生日。
彼が気に入っているホテルの最上階の部屋で祝おうと、骸は1ヶ月も前から予約していた。もちろんディナーも。
それを知ったディーノは、いつの間にか洋服を用意していたのだ。
何故かサイズがぴったりのイブニングドレスを。夕食だけだから、と引き込まれそうな色をした瞳に見つめられ頼まれると断ることもできず、今に至る。
「まぁだだよ。日付変わってない」
「…」
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