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□08-09年越しすぺしゃる
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いつもと同じ平凡な年末。
しかし一つだけ去年と違うことがある。
それは、雲雀のそばに、そして骸のそばに、お互いがいること。
リング争奪戦も終わり、晴れて結ばれた二人はボンゴレファミリー公認のカップルだった。
「今日は寒いですね。夕飯はどうしましょうか」
今日の夕飯を作るのは骸。
お互い早く帰宅した方が夕飯を作ると言う自然な決まりができて、もう2ヶ月になる。
「昨日は鍋だったよね。出汁はまだ残ってる?」
雲雀は骸の横から鍋を覗きこみ、夕飯の献立を一緒に考える。
「ありますよ。ちょっと早いですけど、煮物にしちゃいましょうか?多目に作れば年越しの雑煮にもなりますし」
「31日だしね。いいんじゃない?まかせるよ」
普段の献立は和食。
それは今日も例外ではないが、年末なので若干品数が多く、食卓も賑やかになる。
そして。
日本と言えば年末年始の恒例がもうひとつ。
「…?携帯、鳴ってないですか?僕のはここにあるので、貴方のでは?」
骸に言われリビングに戻り携帯を探す雲雀。
「…はい。あぁ、どうも。できたの?分かった。今から行くから用意しといて。じゃ」
事務的に終わらせると、カウンター越しに骸へ声をかける。
「骸。ちょっと出てくる。1時間ぐらいで帰るから、お風呂よろしく」
「今からですか?分かりました。そちらを出る前にメールいれてください。…気をつけて」
語尾が尻下がりになりつつも雲雀へ気遣いは忘れない。
「分かったよ。じゃ、いってくる。…………ほら、することがあるよね?」
「!!………ん…」
忘れたふりをしてスルーするつもりだったのに、いってらっしゃいのキスを求められた骸は,恥ずかしさのあまり文句を言おうと口を開けるが、雲雀の視線に熱っぽく期待がこもっているのを見ると、
ぱくぱくと口を動かすだけで不発に終わった。
「じゃ、いってくる」
そう言うと満足そうに雲雀は出ていった。
嗚呼、僕は本当にあの人には弱くなりましたね…
骸は自分への呆れ半分と幸せ半分のため息をつきつつ、煮物を作るべくキッチンへ戻った。
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