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□みかん
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「ねぇ、」
「なに?」
外は雪がちらついている。
時刻はまもなく15時になろうとしている。
久しぶりにイタリアから帰省した綱吉は、自室に小さめのこたつを出して暖をとっていた。
久しぶりに家族で年越しをしようと思って帰ってきたのに、母は綱吉だけを残して空港へ向かったのが昨日の話。父と南の島へバカンスの予定を立てていたらしい。
それを全く知らなかった綱吉は、一軒家でひとりの年越しを迎える。

はずだった。

「僕にもみかん、むいてください」
テーブルの角を挟んで隣に座っている骸は、右手を差し出してみかんを催促している。
「…自分でむきなよ。みかんくらい」
呆れてため息をつくと、自分の食べかけのみかんをひとふさ骸の手に乗せてやる。
「ん、」
「で、なんで日本にいるの。骸」
イタリアを出る前に、年末年始にどうしても外せない雑務のために骸を館に残してきたはずだった。
「頼んであった仕事は…?」
「そんなもの終わらせて来たにきまってるじゃないですか」
ひょうひょうと答えると、再びみかんを催促する右手が差し出される。
「え?だって新年のあいさつ状の発送とか、あいさつに来た人の対応とか頼んだじゃん!」
安全上の理由から、同盟ファミリーにも綱吉がイタリアを空けることは伝えていないため、必ず新年のあいさつに訪れるだろう。その対応を骸に頼んだのに、なぜその仕事が「終わった」ことになっているのか。
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