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‡ホワイトデー〜不円〜‡


さてどうしたものか。
円堂は顎に手を当て悩んでいた。
何せバレンタインに不動からチョコを貰ったのだ。
ならば、お返しはやはりホワイトデーにするべきなのだろう。

「(でもなぁ)」

ちらと、隣で居眠りを始めた不動を見つめながら円堂は考える。
木漏れ日の中、束の間の休息に眠たくなったのだろう。
そんな彼は甘い物が苦手で、何をお返ししたら良いのかなかなか悩ませてくれるのだ。

「(不動が欲しいものって…)」

なんだろう。
答えが見つからずに溜め息をつけば、柔らかな風が髪の毛をくすぐった。
そしてそれと同時に、よからぬ考えが脳裏を過ぎる。

「…………」

本当に、何故こんな事を思いついてしまったのか。
円堂は思わずぐしゃぐしゃと髪を掻き乱して両手で顔を覆った。


「(俺のばかばかばっ!!)」


(だってまさか、不動の欲しいものが俺自身だなんて!!)


全く間違っていない答えを出しながら、円堂はブンブンと顔を振って「今のなし!」と叫ぶのだった。


‡不「ま、結局はお楽しみしたんだけどな」‡
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