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‡初詣〜鬼円〜‡
「さむぅっ!」
「今年は一段と冷え込んでいるからな」
参拝客の人混みの中とはいえ吐く息は白く、思わず肩をすくめて眉間に皺を寄せてしまう。
そんな円堂を鬼道は見つめると、彼の右手をそっと握って自分のコートのポケットへと誘った。
「あ…」
人混みの中のその行為は、まるで秘め事。
円堂はマフラーで赤くなった頬を隠すと、ちらと鬼道を見上げた。
すると彼はいつものように笑って見せ、ポケットの中の指を更に強く絡ませてきた。
「参拝が終わったら、俺の家に来るか」
「ん…」
ああ、新年早々どうしてこんな気持ちになってしまうのか。
円堂は、きっと泊まるハメになるのだろうと思いながら、繋ぎ合った手の温もりに穏やかに微笑むのだった。
‡鬼「円堂の手の方が、ポケットの中より温かかった」‡