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すでに出来上がってる(やぶてん風)鬼円



「なあ、鬼道」

「何だ」

くいくいと裾を引っ張られながら呼ばれて鬼道は振り返ったが、しかしそれ以上円堂は顔を赤らめたままで何かを言うことはなかった。
しかし、こうしてワケがわからないのはいつものこと。
鬼道はロッカーをパタリとしめてため息をつくと、円堂に向き直り睨みつけた。

「だから貴様はいつまで経ってもクズなんだ」

「へ?ぁ…」

ぐいと円堂の胸倉を掴み、反抗する間を与えずに唇を奪い取る。
そのまま口内も舐めてやろうかと鬼道は考えたがしかし、キスの緊張でガッチリと口が閉じられていたために、ペロリと舐め取るだけで終わらせた。

「ぷはっ!はぁっ…急にすんなっ!!」

バッと鬼道から飛び退き、円堂が叫ぶ。
しかし鬼道はくつりと喉で笑い、そんな円堂を見下した。

「貴様が誘ったんだろ」

「あ!?…バカ!ちゅーじゃなくて、一緒に帰ろうって言いたかったんだよ!!ヘンタイゴーグル!!」

最低だー!と、バタバタと部室から全力ダッシュで円堂が飛び出していく。
残された鬼道は頬を引きつらせつつ、開け放たれたままのドアの先を見つめていた。

「一緒に、だと…」

今更、そんなことを言うためだけにあんなに顔を赤らめたと言うのか。

「…クズにしては、上出来だな」


だがヘンタイゴーグルだけは許せないから、今夜はお仕置き決定だ。


‡fin‡
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