web拍手文

□〜3/28までの拍手文
3ページ/6ページ

涼野×円堂



思いのほか、寝相は良かった。
もっとこう、足で蹴飛ばしてきたりとか、そういうのを構えていたのだが。

円堂は静かに静かに眠っていた。
涼野はそんな円堂を見つめながらため息をひとつ。
何でこんな、一緒に寝るような関係になってしまったのだろうか。
初めは自分だって拒否していたはずなのに、知らぬ間にほだされて…

ほだされすぎて、欲してしまった。

小さな円堂の体。
小さくて柔らかくて、抱き心地がいい。
そんな彼の足を開き、その奥に潜む熱に自身の欲望を埋め込む事は、何にも耐え難い快楽だった。

しっとりと汗ばみ、額にはりついた前髪を払ってやる。
すると円堂はむにゃむにゃと口を動かし、涼野にぎゅっと抱きついた。
眠っているというのに、こんな時まで心を乱してくるのか、コイツは。
恐るべき天然力。

「不細工な顔だ」

ふにふにとした頬。少しつねってやろうか。
そんな事も考えては見たけれど、この幸せそうな顔を歪めるのは見たくなくて諦める。

それにしても、こういう奴を何と呼ぶのだっただろう。
何かしっくりとくる表現があった気がするのだが。

「… ちんくしゃ」

これに限る。

こんな言葉、基山が聞いたら怒り狂うだろうな。
それはそれで面白いが、後々厄介なので黙っておく。
けれど基山とて、円堂がただのちんくしゃであれば見向きもしなかっただろう。

あの緑の芝生の上で、円堂の魅力の全てが発揮される。

だから魅かれたのだ。円堂の笑顔に、心に。

「サッカーがなければ、私だって君のことを見たりしなかったさ」

けれどサッカーがあって、出逢ってしまったから。

「円堂守…おかしな奴だ」

涼野はフッと微笑むと、円堂に布団をかけなおして自らも眠りについた。


『ちんくしゃのクセに生意気だ』




次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ