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涼野×円堂
思いのほか、寝相は良かった。
もっとこう、足で蹴飛ばしてきたりとか、そういうのを構えていたのだが。
円堂は静かに静かに眠っていた。
涼野はそんな円堂を見つめながらため息をひとつ。
何でこんな、一緒に寝るような関係になってしまったのだろうか。
初めは自分だって拒否していたはずなのに、知らぬ間にほだされて…
ほだされすぎて、欲してしまった。
小さな円堂の体。
小さくて柔らかくて、抱き心地がいい。
そんな彼の足を開き、その奥に潜む熱に自身の欲望を埋め込む事は、何にも耐え難い快楽だった。
しっとりと汗ばみ、額にはりついた前髪を払ってやる。
すると円堂はむにゃむにゃと口を動かし、涼野にぎゅっと抱きついた。
眠っているというのに、こんな時まで心を乱してくるのか、コイツは。
恐るべき天然力。
「不細工な顔だ」
ふにふにとした頬。少しつねってやろうか。
そんな事も考えては見たけれど、この幸せそうな顔を歪めるのは見たくなくて諦める。
それにしても、こういう奴を何と呼ぶのだっただろう。
何かしっくりとくる表現があった気がするのだが。
「… ちんくしゃ」
これに限る。
こんな言葉、基山が聞いたら怒り狂うだろうな。
それはそれで面白いが、後々厄介なので黙っておく。
けれど基山とて、円堂がただのちんくしゃであれば見向きもしなかっただろう。
あの緑の芝生の上で、円堂の魅力の全てが発揮される。
だから魅かれたのだ。円堂の笑顔に、心に。
「サッカーがなければ、私だって君のことを見たりしなかったさ」
けれどサッカーがあって、出逢ってしまったから。
「円堂守…おかしな奴だ」
涼野はフッと微笑むと、円堂に布団をかけなおして自らも眠りについた。
『ちんくしゃのクセに生意気だ』