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風丸×円堂

「ちろ―た?」

「いちろうた」

「ちろた!」

「……………」

彼は、無邪気に名前を間違えて呼ぶのだ。

午前4時

愛しい円堂を抱きしめたまま、風丸はふと目を覚ました。

「(懐かしい夢だな)」

それはもう随分昔。
円堂と自分が出会った頃の夢だ。
自分の名前は彼にとって長いらしく、いつも省略して呼ばれていた。

「(今は二人きりの時にしか名前を呼ばなくなったけど)」

風丸はくすりと笑うと、水でも飲もうと思いそっとベッドから離れようとした。
すると、着ていたパジャマの裾をくぃっと引っ張られ、風丸は隣にいる円堂を見つめた。

「どうした、守?」

「んぅ…ちろた、すきぃ」

寝ぼけたままにふにゃっと笑うと、円堂は大きな欠伸を一つした。

「まだ早いから、寝てて大丈夫だぞ」

ぽんぽんと頭を撫でれば、円堂の大きな瞳は閉じられ規則正しい呼吸と共に胸が上下する。
風丸はそんな円堂の唇に軽くキスを落とすと、布団をかけ直して先ほどの言葉を思い出す。

「ちろた、か」

それは円堂だけが呼んだ名前。

「俺も好きだよ」

今までも、これからも。


ずっと君だけを


‡fin‡
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