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「もしかして、円堂守?」
「そうだけど…えっと」

近くを通ったから寄ってみれば案の定。
円堂は恋人の玄関先で固まった。
目の前には恋人を彷彿とさせる白髪の髪の少年。顔立ちこそ幼いが、やはりその恋人を彷彿とさせる切れ長の目がやたらカッコ良い。

円堂のぽかんとした丸い瞳に気付いた少年は、その幼さには似つかわしくないニヒルな笑みを浮かべて薄く口を開いた。

「なぁ、俺と付き合えよ」
「へ?」



*****


「……何してるんだ、円堂」
「あ、お帰り豪炎寺!」

自分の家の庭から低い地響きのような音が聞こえ、何事かと思って見てみれば…
そこには円堂と従兄弟の真人の姿があった。
PKをしているのだろう。円堂はサッカーボールを真人へ向けて投げると、それを胸でトラップしてから真人はそれを蹴り上げ地面も蹴り上げた。
ファイアトルネードの体制だ。右足に渾身の力を込めて放たれたボールは炎を纏い、真っ直ぐに円堂へ向かう。
しかし、円堂はそれを必殺技なしにあっさりと受け止めた。

「くっ…またか…」

真人がギロリと円堂を睨む。
ファイアトルネードの形は完璧だった。
しかし、彼にはまだまだ経験が足りないのだ。
だからと言ってハイそうですかと受け入れられるハズがないだろう。
悔しがる従兄弟に豪炎寺はため息をついてフォローに回ろうとした時だった。
円堂が真人の元へ駆け寄り、頭をくしゃりと撫でてニカッと笑う。

「そんな顔するなって!諦めなければ必ず努力は報われる!!それに俺、お前のシュート好きだぜ!!」

最後にとびっきりの笑顔で、円堂は真人にボールを手渡した。
同時に、豪炎寺は嫌な予感がして真人の肩を掴み振り向かせてみれば…

「お前…」

「っ…お腹すいたから休憩する!!」

真っ赤な顔をして真人は家の中へダッシュで入って行った。

「真人ってなんかちっさい豪炎寺みたいで可愛いな!」

ああ、真人と自分の気も知らずに笑う円堂が憎らしい。
豪炎寺は円堂にファイアトルネードを一発打ち込むと、円堂に惚れたであろう真人に円堂が自分の恋人であることを告げるべく家の中へ入った。

‡fin‡
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