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「おはよ、守!」
「ヒロト…あと5分…」
「その5分間オレの好きにしていいなら…構わないよ」
「オハヨウゴザイマス」
幼なじみの不吉な言葉に、円堂は欠伸を噛み殺しながら起床した。
――――if!if!if!
「今日も凄いな」
円堂はハハッと笑うと、隣で困ったように笑うヒロトを見つめた。
彼の下駄箱はいつだってポストだ。
…ラブレター限定の。
それがまた毎日毎日大量にあるものだからヒロトも手に負えずにいる。
持参したラブレター用紙袋にそれらを詰める彼に苦笑を漏らせば、とんっと肩を叩かれ反射的に円堂は振り返った。
「あ、南雲!おはよ!」
「よっ、円堂!」
パチーンっとハイタッチを決める。それが二人の挨拶だ。
ヒロトはそれを面白くなさそうに見たが、しかし円堂の前で嫉妬心をさらけ出すのも恥ずかしいのでぐっとこらえた。
その代わりにぐしゃりと手紙をぞんざいに紙袋に詰め終えた後、無理矢理円堂の手を取って自分の方へと注目させる。
「守、教室に行こうか」
「え?あ、あぁ!それじゃ南雲、また昼休みな!!」
「おー」
引っ張られる円堂に南雲は軽く手を上げて応えながら、その赤い髪の男に対し嘲笑を浮かべた。
「(嫉妬してんのモロバレだっての。恥ずかしい奴)」
そして今日も、慌ただしい学校生活が始まるのだ。
‡fin‡