箱館novel log
□ウマイ物には愛がある
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※タイトルは北海道米LOVEのキャッチフレーズ。
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・座談会参加者
榎⇒榎本武揚(都会っ子)
鳥⇒大鳥圭介(町人代表)
土⇒土方歳三(百姓代表)
松⇒松平太郎(司会)
松「さて、食欲の秋も終盤。本日は各々『米』に関する意識調査を行います」
鳥「僕の田舎は、当然ながら米より野菜だな。白米なんて何年に一度正月で御目に掛かれるかどうか」
榎「何年に一度って…マジで?!普段は玄米とか?」
鳥「いや、玄米も在るだけマシな方だよ。農村地帯の主食は野菜だ。僕みたいな平凡な町人くらいなら何処もそんなもんだろ」
土「穀物食うくらいなら植物繊維摂取ってわけか…。
だから、そんなに体が小っこくて貧相なのか」(ボソッ)
鳥「オイコラっっ!!!聞こえたぞっ!貧相言ったなっ!!哀れんだ眼で僕を見下ろすな!!」
松「大鳥さん、それでも食うには困らなかったんだろ?家は町医者なんだから収入はしっかりしてるじゃないか」
鳥「まぁね。ただ診察料も、もちろん野菜だから収入と言っても銭では無い。薬や治療と物々交換な」
榎「大鳥センセー、コレで治してー。みたいな感じ?じゃあ、今度なんかあった時はフルボディ用意するから宜しく」
鳥「アハハ、喜んでOKするよ」
松「では、町人の現状を聞いて、百姓代表土方くんの見解は如何なモノで」
土「如何っつってもよ…」
鳥「君、聞いたところによると御大尽と呼ばれる豪農の末っ子なんだってな」
土「それが何だ。確かに、米にも食うもんにも困った事ァ一度も無ぇよ」
鳥「しかも君なんかは、驚異的に可愛く生まれちゃったばかりに嘸や我が儘言いたい放題の周囲から甘やかされ放題で育ったんだろうな!」
土「テメェ…矛先が俺に向いてねぇか?食う物も土地も有ろうが所詮、百姓は百姓なンだよ!
大体、町医者に生まれたアンタは学が性に合ってたンだからいーじゃねぇか。そのまま塾だの何だの行ける環境でよ。
俺がどんなに高楊枝に苦虫噛み潰した事か、アンタにゃ分かるめえ!」
鳥「食えるだけ有り難いと思えやっ!!武士は食わねど高楊枝でも、食わなきゃ腹は減る!
君は食事に困る貧しさなど体感した事も無いからそんな事を言えるんだっ!!」
土「あぁ知らねぇな!飯が無けりゃ菓子でも食っとけ!!」
鳥「うわっ!言ったな!!言いやがったな!?どっかの国の女帝と同じ事をっ…!!」
榎「あのさぁ…、」
松(あ、今この人は口を挟むべきでは無いと思うが)←榎本をチラ見。でも口に出さない
榎「米の話しじゃなかったの?会議じゃあるまいし、そんな2人ともムキにならなくてもさ…」
鳥「うっさいわ!釜さんには微塵も関係無い話しやろうがっ!!」
榎「っ関西弁!?」
鳥「この中では何一つも不自由無く育ちやがってからに」
土「そうだ、もっと言ってやれ!この生まれも育ちも下町ど真中の“旗本直参御徒士持目付役”次男坊にっ!」
榎「なっ…何で私が目の敵にされんの!?」
松「此ればかりは仕方無いかと」
鳥「どーせ、釜さんくらいなら御櫃の蓋を開ければ湯気の昇るお米様がいつでも御出座しってところか。
粒の一つ一つが立ち、白く艶めき輝を放つ白 米 ! !憧れたなぁ…。」
土「いいか、『米』って字はなァ八十八と書くンだよ。米には一粒に八百万の神が宿り。それを八十八回もの手間を掛け端正込め百姓が育て上げンだぞ。
侍なんざ、百姓が居ねぇと食いっぱぐれンだからな。テメェだって百姓が働いてこそ年貢を承けソコまで育ったンだぜ、榎本さん」
松(今日はよく喋るな…)
榎「も、もちろん…感謝してます」(涙目)
土「フン、当然だろ。」
松「(稲を取り出し)この極々小さな稲穂の一粒一粒に生産者の心血が注がれている訳だ」
鳥「あぁ…恵み一杯の穂を垂らし、見渡す限り一面を覆う黄金色の風で靡く田圃を見ると感動を憶える…」(何処か遠くを眺めながらまだ妄想中)
榎「タロちゃん………それって、もしかして本物の、稲ってやつ…?」
松「えぇ、そうですが。何か?」
榎「貸して見せてっ!
本物の稲って見たこと無いんだよねっ!!」
鳥・松・土「!!!!!????」( 絶 句 )
榎「凄っ、ホントに皮付いた米粒がくっ付いてるーー!!此を矧がせばあの米になるんでしょ?
…って……アレ?みんな固まってる?」
鳥「か、釜さん、、、貴方、稲を見た事が無いと?それともなにか??白米しか見たことが無いと言いたい訳か…?」
土「いやいや…嘘だろ…、
稲だぞ!イネっ…!!頼むから冗談だと言ってくれ!!物忘れしてンじゃねぇの?!」
榎「だって…実家は農村まで距離あるし…。こう稲の時点を間近で見るのも触るのもそう機会が無いと言うか…」
鳥「コレだから育ちの良い江戸っ子(都会人)は…」←単なる嫉妬
土「なんか、阿呆らしくなったし。すげえ疲れた…」
榎「何??どうしたの?」
松「榎本さん、もういいです。ソレあげるから、どうぞ分析でも分解でもして下さい」
榎「ゎわ分かったっ!勉強する!土方くん、ご鞭撻を宜しく御願いします」
土「俺かよっ!?」
榎「やっぱココは専門家から聞きくべきでしょ」
松・鳥「それもそうだ」←他人任せ
土「勘弁してくれ…。」
松「ではでは、お後が宜しいようで」
終
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