長編

□やまかぜが来る
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明らかに心配している徹を帰して、状況を整理しながらもう寝ようかとしたところで帰って来たチョコと眠りに着いた。

結局分かったのは面倒な事になったくらいだった。




そんな翌日、登校して驚いた。


「うわぁ〜…」


「何の列?」


俺たちの教室に続く長い列。

かなり迷惑になってるし、何故か視線とコソコソ話す声が気になって仕方ない。

先に教室に入った太一のあり得ねえって声に、単純に気になった俺は訊いたら思いもよらない答えが返ってきた。


「お前の机に続いてる」


「は?」


意味分かんないから。

何バカな事言ってんだ、と入ったらホントに俺の机に続いてた。

近づこうとしたところを、ずっと静かに後ろを歩いてた斗真に止められて振り返ったら首を横に振られた。


「…待って……何がある、か…分からない」


そんなしなくても…

そう言う前に俺の机を見に行った斗真に苦笑いを浮かべるしかない。

机なんて落書きか、必死に彫るくらいだってのに。

剃刀の刃とかは止めてほしいな。

あれはホント痛いから。

見た目以上に血出るし。

嫌な想像をしてブルッと震えたのと同時に太一の笑い声が響いた。


「何これ!スゲー!!」


斗真は完全に固まってるから、横で腹抱えて笑ってる太一が目立ちまくってる。

悪目立ちにもほどがある。


「何」


斗真が反応しないって事は、危険ではないだろうから人だかりに覗きに行ったが…


「何これ…」


人が多くて見えなかった俺と斗真の机が、色も形もサイズも様々なラッピングされた箱に埋もれていた。

一体どうなって…


「斉藤、斉藤」


「え?」


呆然としてた俺を小声で呼ぶ声に振り返ったら、結構教室の隅に居た松本の必死の叫びだった様だ。

とりあえず手招いてるから行くと、紙を渡された。


「預り物」


「お、サンキュー」


開いて確認した瞬間に握り潰した。


「良いのか?」


「ん?ああ、大丈夫」


不機嫌な元会長からの呼び出しだから、なんてもちろん言わない。


「じゃあ、俺このまま生徒会行くから」


「あ、ああ。頑張れよ」


「サンキュー!斗真〜生徒会室行くぞ〜」


呼ぶだけ呼んで先に教室を出た。
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