キリリク・プレゼント

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大きく深呼吸したところでちょうど中から呼ばれた。


「斉藤君、入って」


「…はい」


また早く動き出した脈を騙しながらドアを開けた。

うわぁ〜…痛い…

視線がグサグサ刺さる。

しかも好奇心なんて可愛いものじゃない、探るような恨まれてるような…

とりあえず好意らしいものは感じない。

1歩入った足を戻しそうになった。

まあ我慢して先生の隣まで行ったけど。

視線が強くなった気が…

ヤバい、これは緊張なんて言ってる場合じゃない。

マジで怖い!

しかも眼鏡率高すぎ…

反射で表情読めないのが尚更恐怖なんですけど!

教室全体を見渡して一人と目があった。

ただ驚いてるみたいな、少し目を見開いてるけど整った顔だった。


「斉藤君、自己紹介して」


「はい」


短めのチョークを取って書きづらい黒板に大きく、大きくと気にしながら名前を書いて振り向いた。

やっぱりと言うか…

誰も名前なんて興味ないみたいで視線がまだまだ痛い。


「斉藤 來です。遅れてスタートだけどよろしくお願いします」


ペコッと頭を下げれば、義務だと小さな拍手が返ってきた。

…虚しさが増すなぁ……

これなら何もない方が…いや、それも寂しいか。


「仲良くするように。斉藤の席は窓側一番後ろの、あの空いてるところな」


仲良く出来る気がしません。

はい、と頷いて机と机の間を抜ければそれに着いて視線も動く。

極力気にしないようにして席についた。

うん、良い席だ。

机を一撫でして、前の席に声をかけた。

さっき目が合った美形が振り返った。


「今日からよろしく」


唯一、好意じゃないけど悪意でもない視線をくれた相手。


「…ああ、よろしく。矢崎徹だ」


「矢崎な、よろしく!」


良い奴だ!

でも顔も頭も良くて、おまけに性格まで良いなんて…

神様ってどこまで不公平なんだ…

性格良いのは良いことだけどさ、これで天才型なら仲良くなれる気がしないな。

平凡の俺にケンカ売ってるとしか思えねぇ…

なんて思ってる俺をまじまじと見てくる矢崎と視線を合わせたら反らされた。

なんだ?

気になったけどこんな中途半端な時期まで休んでたんだ、誰だって気になるよな。

仕方ないと諦めた。

それにしても…

周りを見渡して小さくため息をついた。

ここじゃ俺たちはかなり浮いてるのか…

がり勉って感じの奴ばっかだ。

矢崎以外に話すのも難しそう…
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