キリリク・プレゼント

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「徹〜…おっ、サンキュー…」


本から視線を外さず、指差すついでに出した手にキューブ型したチョコが3個落とされた。


「……お前らホント仲良いよな」


休日にわざわざマンガ持参で俺の部屋に遊びに来た太一が何か言い出した。

怪訝な顔して読んでた本を閉じて太一を見れば、同じ様な顔して太一を見る徹が視界の隅に見えた。

それに引き替え太一は目輝かせてるけど。


「何だよ急に」


「いや、今のでチョコなんて分かんねえって」


いや、そんな事言われてもさ。


「そろそろ糖分が必要な頃だったからな」


「いやいやいや、それが凄いんだって!」


徹の当たり障りない返答に、余計テンションの上がった太一がうるさい。

部屋に入れなきゃ良かった…


「しかも2人とも全然タイプ違うじゃん?類友じゃないよな」


「…何か今貶された気がしたんだが……」


確かに美形と平凡、きっちりとズボラって真逆だけどさ…


「徹と友達になったのってかなり偶然だぞ。まさか高校まで一緒になるとは思って無かったけど」


思い返せばホントただの偶然だし、こんな関係になるとも思って無かった。








「斉藤君、大丈夫?そんなに緊張しなくもみんな良い子だから」


「はい…」


真新しい制服に着られた俺に優しく声をかけてくれる先生に、背中を押されながら廊下を進む。

緊張ってか不安なんだけど…

こんな中途半端な時期に、しかも同じ小学校の奴1人も居ねえし…

小学校に転校した時を思い出してしょうがない。


「それじゃあ紹介したら呼ぶから、入って来て」


「はい」


真っ白いドアの前で静かに1人待たされると、余計に不安になるんですけど。

バクバク煩い心臓を押さえて深呼吸を3回。

緩やかになった脈を確認して耳を澄ませば中から先生の声が聞こえる。

何言ってるかまでは分からないけど、その分生徒が静かな事が良く分かる。

小学生と中学生の差か?

小学校の時は歓声とか質問の声で出迎えられたんだけどなぁ。

落ち着いたらいろいろ考える余裕が出てきた。

不安になったって、成るようににしかならないよな。

最悪帰ったらシキが居るし、大丈夫だ!

間違った方向に自分を勇気づけて呼ばれるのを静かに待った。
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