記念小説
□來と七人の小人(?)
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「誰だ」
「いや、あの…」
一番真面目そうな眼鏡をかけた若い男が前に出てきた。
この人、融通きかなそう…
「ねぇ、君誰?どうやって入ったの?僕はなつめ。君は?」
周りが見えていないのか、はたまた気にする気がないのか…場違いなテンションで矢継ぎ早に訊いてくるピンクの女の、子?
「…もしかして…男?」
「え?そーだよ」
キョトンとしたピンクの…なつめだっけ?が頷いた。
うわ〜完全に女の子だと思ってた!
もう一番後ろに隠れるみたいに一人可愛い子は居るけど、辛うじて男だと分かる。
それにしても、こんなに女顔なら俺の服と替えてほしいものだ。
「ねー、ねー名前は?」
「あ?ああ、來」
「らい?じゃあ、ライちゃん!」
きゃっきゃと騒ぐなつめを呆れ半分に見てたら、怖いくらいの視線を感じた。
キョロキョロと周りを見ると、一人離れた所に壁にもたれた赤髪の強面の男の人がこっちを睨んでる。
めっちゃ怖いんですけど!
「それで、お前はどうしてここにいる?」
眼鏡の落ち着き払った人がまた訊いてきた。
これはどう答えればいいんだ?
俺だって状況がよく分かってねーのに。
「俺もよく分かんないんだけど…冬夜さんに連れて来られただけで」
「冬夜だと?」
眼鏡さんが顔をしかめた。
「もしかして知り合い?」
そりゃ見ず知らずの人の家に預けないだろうけど……冬夜さんならありそう…
ちょっと考えて怖くなった。
「知り合いと言うほど…」
「勝手に関わってくるだけだ」
眼鏡さんが言葉を濁したところに、今度は銀髪にピンクのメッシュが入った美人さんが答えてくれた。
「勝手に来ては好き勝手して帰って行く悪魔だ」
「あ〜…そうですか」
なんとも的確な説明になんと答えていいのやら…でも、まだ悪魔の方が可愛いと思う。
「で?お前はどうすんだ?」
今度は、この美形集団に合わない平凡な黒髪の男が聞いてきた。
「どうって言われても…冬夜さんがここにしばらく居ろって言ってたからここから動けない…」
ついさっきの出来事を思い出して、ちょっと泣きたくなった。
「お前も大変だな」
何故か眼鏡さんに慰められました。
でも確かに大変なんだよな…あのプレッシャーがなんとも…
「まあ、仕方ないからお前はここに居るといい。そんな柔そうな奴がこの森で生きていくには無理があるだろうから」
またもや眼鏡さんに肩を叩かれて言い聞かせるように言われた。
まあ、とりあえず追い出されなくてよかった…
「ありがとう!そんで、よろしく!」