キリリク・プレゼント
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カサッと言う小さな音と、顔に何か当たった感覚で目が覚めたんだけど…
「どこだ?」
目を開けた先に広がる木の枝と青空。
なんでこんな所に居るんだっけ?
外に出た記憶すらない俺は記憶を少し遡った。
確か、樹弘さんに美味しいお菓子を貰ったからって理事長室に呼ばれて、本当に美味しかったから食べて…
それから……ああ、なんか急に眠くなって来たんだ。
そこまで思い出してここに居る原因が何となく分かった。
また樹弘さんの仕業か…
ため息を尽きながらベンチから起き上がって座って異変に気づいた。
地面に足が届かない…
それに…
「何これー!?」
自分の足を見て、自分の手を見て有り得ない事に気づいてしまった。
足も手も小さいしかもあろうことか服も靴も変わってる。
フリルを惜しげも無く使われたワンピースと真っ赤な靴。
これはどう表せばいいのか分からないが、とりあえず、ベンチの前にある噴水まで行って、必死に背伸びして覗きこんだ。
そこに写った俺の顔は小学生低学年くらいにしか見えなかった。
「どうなってんだよ…」
いつもいつも突拍子もない事する人だってのは分かってたが、これは何だ…
理解の範疇を超えている。
それに…
「なんで女の子なんだよ!」
しかもご丁寧に短い髪を無理やり2つに括りやがって!
男物準備しろよ!
もう脳の限界を超えて何に怒っているのかも分からないが、やるべき事は決まった。
「樹弘さんをぶん殴る!」
今までは何とか耐えた…
耐えてたんだよ、俺は!
例え部屋を大改造されても、拉致られても…
必死に我慢したってのに、これは絶対許さない!
俺はおもちゃじゃねー!!
怒りに任せて、今の場所も分からないまま歩きだした。