キリリク・プレゼント

□4000hit
2ページ/12ページ

俺は貴重な休日に惰眠を貪っていた。

今日の俺は読書にいそしみ空が明るくなってきたことに気づきベットに入った。


――ピンポーン……ドン、ドン…ドン、ドン…


なんとも不愉快な音で目が覚めた。

いや、体が起きた。


「…なんだよ」


ノロノロとベットから出て玄関に向かう。

うっすらと俺の名前を呼ぶ声が聞こえた。


「ライちゃ〜ん、朝だよー!」


この高音ボイス…紛れもなくなつめ先輩だ。

嫌々だが近所迷惑を考えてドアを開けると、飛び込むように入ってきた。


「ライちゃんおはよう!」


「……おはよ」


「ライちゃん寝起き?もう10時だよ」


首を傾げながら聞いてくる姿は可愛らしいが、生憎だが俺には何の意味もない。

とりあえず、寝かせてくれ。


「今日はね〜朝からケーキ買って来たから一緒に食べよー」


俺の反応なんて気にしてないのか、一人で勝手に話を進めて部屋に入っていった。

……眠い…

なつめ先輩の話だって頭に入んない。

リビングに入ってボスっとソファに座ると、途端に瞼が重くなってきた。


「ライちゃん、お茶入れるから待っててね〜」


「……う、ん」


もう意識なんて朦朧として、自分が何を言ったかも分からない。

ああ〜いい匂い…





「ライちゃ〜ん、起きてよ〜起きないと…」


「…ん〜…ぅ…」


揺さぶられて、頭がガクガク揺れる。

いったいなんだよ…

うっすら目を開けたがぼやけてはっきりとは見えない。


「ライちゃん、カワイイ!はい、あ〜ん」


頭が眠っているまま、口を開けた。

口の中に少ししっとり感のある物が入った。

無意識に口を動かし、味を感じる。

ビターなチョコに少しのクリーム、このしっとりとした生地。


「…っガトーショコラ!」


「正解。やっと起きた!寝癖で髪跳ねちゃってるよ」


にっこり笑顔のなつめ先輩のアップが目の前にあって、目を見開いた。

クスクス笑いながら、俺の頭を撫でるように髪をペタペタと触る。

ちょっとくすぐったい。

目を細めて笑うと、なつめ先輩の手が止まった。

ん?なんだ?


「…反則……」


「ん?」


何かぼそりと言ったが聞き取れなかった。


「もう!ライちゃんカワイイ!」


いつものなつめ先輩に戻ったかと思うと、飛びついてきた。

ホント一体なんなんだ?
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ