小説
□ぽよん、ぽよん。
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「僕は…兄さんが分からないよ。兄さんは変わってしまったんだ…」
異世界に来て、翔は人間の奥底にある恐ろしさ、脆さを知った。
あれほど信頼し、慕っていた太陽の様に明るい遊城十代は、今は何処にもいない。
もう人を信じる事を忘れてしまった。
そんな時、兄である亮と再会し、この世界に来て初めて自分の心の弱さを曝けだしてしまった。
当然、無様な翔に亮が手を差しのべる事はなかった。
(いま思えば、お兄さんが僕を待っていてくれた事なんてなかったな…)
(いつもお兄さんは僕の先にいて、走っても走っても、永遠に追いつけない存在になっていて…… … …
(お兄さぁん!待って、置いてかないでよー!)
ぽよん、ぽよん…
(お兄さん!お兄さーん!!)
ぽよん、ぽよんぽよん…
「…フ、フフフ…」
「……亮……不気味だぞ…」
翔と再会しエドと行動を共にした事で、亮は異世界にいる間、いい夢をよくみれるようになったそうな。
おわり。