小説
□ぽよん、ぽよん。
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取り残されたヨハンを助ける為に十代達はまた異世界へと発って行った。
その際、近くにいた俺とエドも巻き添えになり、今は異世界を二人でさまよっている。
ここでは決闘者を本気で潰しにかかってくる相手しかいないので向こうの世界よりは楽しいが、エドは仕事が詰まっているので困っている様だ。
俺の知った事ではない。
「待てよ、亮!」
森の中を進む俺の後ろをエドが小走りで追いかける。
地床の状態は悪く、張り巡らされた太い木の根が行く手を邪魔する。
俺は足を上げれば跨いで行けるのだが…
「ちょ…もっとゆっくり歩けよ!」
エドの背丈では、飛び越えなければならないらしい。
その為に、この世界に来てからというもの、エドはピョンピョン跳ねまわっているのだ。
「……。」
「はぁ、はぁ…。おい、この世界ではぐれたらどうするつもりだ!勝手に先に行くなよ!!」
「……。」
「お、おい待てって!」
俺が早足で歩けばエドは小走りになる。
障害のある道を行けばエドは跳ぶ。
その度に髪が動くのが………何というか、愉快なのだ。
「お前!わざと早く歩いてるだろう!!」
「……知るか。お前のペースに合わせる気はない」
そう言って俺は早足で歩く。
そして、また俺の後ろをちょこちょこと、髪を跳ねさせながらついてくるのだった。