夏目友人帳 short
□願わくば……、
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暖かい光が窓からさす昼ごろ、君はおれの部屋で本を読んでいた。
先程から名前を呼んでも、んー…、という気持ちのこもってない返事が返ってくる。
せっかくの休みで、しかも二人っきりなのに…、
なんて言葉が思わず口から出そうになる。
でも、言えない………、
言ったらきっと君は笑うだろうから………、
けど、ずっとこのままはヤダな……。
おれはゆっくりと君に近付き、後ろから抱き締めた。
ピクリと反応する君。
そんな小さな反応にも可愛いなあ、なんて思うおれは相当、君に溺れてる。
囁くように君の名前を呼び、肩に顔を乗せると、どうしたの?と、君がおれに問い掛ける。
それにおれはなんでもないよ、と短く返すと君のお腹にまわしている腕に力を加える。
すると君は痛いよ、と小さく身動ぎした。
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