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□優しい手
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かち、かち、と時計の音が、二人だけの部屋に響く。





かち、かち、カチ、


時計の音に混じって聞こえてくる、金属音。



それは、ユーリが剣を手入れしている音。



先程からずっと、ベッドに腰をかけ、剣の手入れをするユーリ。



そんなユーリを、わたしは見詰める。








軽く、わたしの日課になっていた。





丁寧に、丁寧に、


ユーリが剣を手入れしている。




それを見るのが大好きだった。








真剣な眼差し。


風に吹かれて揺れる髪。


軽快に動く、手。








わたしは微笑し、口を開いた。








「ユーリ、」






わたしが声をかけると、ユーリは手を止め、視線を剣からわたしに移し、ん?と言う。




そんなユーリに、わたしは再び微笑した。









「手、繋いで?いいでしょ……?」




「ああ…、いいケド……」





わたしはユーリの返事を聞くと、ユーリの隣りに腰かけた。



二人分の体重で、ベッドがきしり、と鳴る。



ベッドが軋んだ音と同時に、かちん、とユーリが剣を鞘に収める音がした。







ゆっくりと、


わたしが手を出すと、


重ねられるユーリの手。


互いに、互いの指を絡める。





もう、幾度としただろう、その繋ぎかた。





指の一本一本から、ユーリの体温が伝わり、わたしに流れてくる。








「……わたしね、ユーリの手、すき。」



「なんでだよ?」



「落ち着くの」



「……変わったヤツ、」



ふ、とユーリが笑う。



そんな小さな振動も、絡め合った指から伝わってくる。





本当に、

そんな小さなことも愛しく感じる。





指先から、感じる。



優しさ。

暖かさ。

強さ。

愛しさ。








ああ、



絶対に、





離したくない、


























(離さないで、この手を、)
(一生、離してやらない、)




―――――――――――
甘いな


砂糖いくついれたのでしょうか(意味不明)



BBS


 

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