07-GHOST

□花野
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「久しぶり。」



俺は最初、信じられなかった。



「あれ?おーい、フラウ?」



そこにいたのは過去の自分を知っている血縁の者・・・
つまり会ってはならない、会うなんてありえない人だったのだから・・・



「久しぶりに叔父さんに会ったんだから、挨拶くらいしろよ」

「俺より七歳も年下の癖に何言ってんだクソガキ・・・」



辛うじてカラカラに渇いた口から出たのは、皮肉にも過去の自分がこの少年にいつも言っていた軽口だった。


* * *



「で、何で此処にいるんだよ。」


フラウを強制的に何故か野原の真ん中にあるソファーへ連れて行くと、フラウが突然そんなことを言い出した。

当然と言えば当然の問いだ。


「何でって・・・そんなの決まってる。」


自分が死んだからだと言うテイトに、フラウはますます疑問を感じた。
こいつが本当に死んだと言うのなら、自分に分からないはずがない。


なぜなら、フラウはフェアローレンがいる限りはそれとともにあるべき07-GHOSTなのだから。


分からないはずがないのだ。


それなのに、テイトからは死んだ印象も生きた印象も見受けられない。
まるで、自分達と同じ・・・


「俺はね、器なんだよ。」


そこまで考えていると、テイトがふと口を開いた。


「フラウたちと同じ、器なんだ。・・・神さまじゃなきて天使のだけど。」


そう言われて、フラウはやっと理解が出来た。

コイツのことはミカエルはとても気に入っていた。
あらかたミカエルがコイツが死んでもコイツ以外の主は嫌だとか言ったのだろう。
あのわがままなミカエルならば有り得ないこともない話だ。


「別に俺はフェアローレンを見張らないといけないわけじゃない。むしろ、逃げているべきだ。だから、俺はいつもはあっちにいろと命令が下されている。」


だから、たまにしか来れないのだと少し寂しそうに笑った。
あんまり寂しそうだから、来るなら絶対自分が行ってやるといった。
だから、絶対自分に呼びかけろと。





寂しそうだからと言い訳して、結局会いたいのは自分なのかもしれない。





なかば命令するように言ったのに、テイトは嬉しそうに「おう、絶対連絡する」と笑った。

「あ、そろそろ帰らないと。」


あの後しばらくソファーに腰掛けて談笑し、昼寝して、テイトが茶と菓子を出してくれたのでそれをつまみながらまた談笑していたときだった。


ふと思い出したように言うと、立ち上がって天を見た。
その姿はさながら天使のようだった。
当たり前だ、テイトは本当に天使になったのだから。
でも、それだけではなくやっぱりテイトだからそう見えたのだと思う。



その天使は、足元からだんだんと消えていった。



まるで、永遠の別れを意味するかのように。



思わず捕まえて、少しの間でもこちらに永く留まるようにと抱いた。



「なっ・・・なにす「絶対知らせろ。」



そういうと、やはりテイトは嬉しそうに笑って「絶対、連絡する。」と言った。





言ったと同時にテイトは足元から消えていった。





永遠の別れでもないのに、頬に一筋涙が伝った。
 

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