Ballad of Love

□第二話 穏やかに揺れる風
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その日の放課後は彼女に会うことがなかった。良いのやら、悪いのやら…あまりパッとしないな……。
考えていたら、いつの間にか眠りについてしまった。

──…どれだけ待ったら、明日はやってくるのか。
──此処に。
眠らずに待っていても、また今日が来るだけ。明日のしっぽは見えても、それを掴むことはない。手を伸せば届くだろう。けれど、掴んだそいつは、もう今日だ。眠らずに待って、過ぎてゆく時間。それならいっそ、眠って待とう。
──明日を。
終わりのない今日の中で、明日を待つ。眠りの中で、うなされながら。空虚と後悔と嫌悪と自虐と忘却に、咽せながら。記憶は嘘をつく。
──真実の嘘。
だから、彼は夢を見る。悪夢を見て、醒めない夢を見る。

また、朝がきて、今日。

目覚めは、…悪い。気分も最悪だ。夢のせいだ。本当は、まだ眠っているだろうか。それとも、あれからずっと起きたままなのだろうか。消えない傷の夢。消せない傷の夢。
傷跡は隠したか?
傷跡は埋めたか?
なら、起きよう。目を開けて、夢の続きを終わりにしよう。
また朝が来た。

さあ、起きろ。
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