青学

□二人乗り
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駐輪場に着くと、桃城は自転車の鍵を開けながら、
「お前、後ろ乗れよ?」
と言う。
それを見ながら海堂は
「普通は彼氏が前に乗るんじゃないのか?」
と言うが、桃城は無視をして、そのままサドルに腰掛けた。
仕方なく、海堂は後ろの荷台に腰を下ろす。
「よし!!じゃぁ、行くぜ!!」
と立ち乗りでこぎ出す桃城に楽することが出来る荷台でも良いかと思った。
スピードが乗ってきた頃、海堂はは座らずに立ち上がった。
気持ちよく風が髪を揺らす。
「な?気持ちーだろ?」
「あぁ…楽だから余計な…」
と再び風を感じる為に目を閉じる。
「下り坂はもっと気持ちーぜ?」
桃城はそう言いながらニッと笑うと、立ちこぎを始める。
不安定な桃城の肩に掴まりながら海堂はそっと微笑んだ。
「行くぜ!!海堂!!」
と良いながら桃城がサドルに座ると、身体が斜めになった。
それと同時に猛スピードで坂を下りていく。
「ひゃっふぉーっ!!」
と桃城の声が響く。
そしてふと海堂が彼の肩を叩く。
何かと思い、桃城が後ろを向きくと、海堂がキスをしてきた。
「ーーーっ!!!!」
それにびっくりしてか、桃城がハンドル操作を誤り、二人はその場に転落してしまった。
「ばーっ!!海堂!!何やって!!」
と顔を上げると、そこには痛みに耐えながら微笑む海堂の顔があった。
「大丈夫か?」
と桃城が海堂の頬に手を当てる。
「お前がケガしなくて良かった…」
と海堂がその手を握った。
「海堂…」
「それにこんなの、日常茶飯事だろ?」
と何でもないように微笑む。
「なぁ…武…」
と口元を桃城の耳に近づける。
桃城は恥ずかしくて硬直してしまっていた。
それをイイコトに、海堂は
「今日は泊まらせてくれよ…」
と囁き、桃城の頬へキスをした。
「分かったよ…」
桃城は照れながらそう返事し、目を瞑り、海堂と甘いキスを交わした。

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