六角

□年下の男の子
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「バネさん、ダビデ、いっちゃん、亮君、聡君…レギュラーはみんな居るね!」
部活前の出欠確認に一人だけ名前を呼ばれなかった者が居た
「あれ?俺は呼ばないの?」
確かに、佐伯だけ名前を呼ばれなかった
佐伯は自分は忘れられていたのだと思いこみ、苦笑いで剣太郎に言った
「うん!」
剣太郎がワザと呼ばなかった事を知って、佐伯は顔をしかめた
「だって、サエさんは一緒に来たから、居るのは当然でしょ?」
佐伯と剣太郎が一緒に部室に入って、一緒にコートに来たのは事実だ、周りの部員は納得し、佐伯はその理由にぽかんと口を開けた
「そんでね、みんな聞いて!僕、例えサエさんが人込みに居ても、絶対に見つけられるんだよ!」
と自慢げに話し始めた剣太郎にサエ以外は一気に笑った」
そして、バネが言いはなった一言
「それじゃぁ、お前等!まるで恋人同士みたいじゃねーか!」
「えっ…」
それを聞いた剣太郎は動きが止まり、固まったしまった
「違うよね!剣太郎!」
佐伯がメンバーを宥めながら、振りかえった佐伯は剣太郎を見て驚いた
「剣太郎!?」
「え…?…あれ?どうしたんだろ…」
剣太郎は無意識のうちに泣いていたのだ
ぽろぽろと次から次に涙が溢れてくる
「なんかっ…苦しいんだ…」
心が…
剣太郎はその場に自分の胸を掴んで座り込んでしまった
「それは、俺が"恋人同士"を否定したから?」
「ゎかんなぃ…」
剣太郎はただただ、それを繰り返すだけだ
「剣太郎、俺の事好き?」
「好きだけど…よく分かんない…」
「そうだね…」
佐伯は柔らかく剣太郎に言った

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