青学

□七夕
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「おい、桃城…」
空が薄暗くなり、星が瞬き始めた頃…。
いつものストリートテニスコートで海堂が動きを止めた。
それに合わせて桃城も動きを止めた。
「なんだよ?」
「もしもの話だ」
海堂はそう言って、ネット際にいた桃城近づく。
「俺たちがもし、永遠に一年に一回しか合うことが出来なくなったら…どう思う?」
桃城は驚いたようで、海堂を凝視した。
少し沈黙が合ったかと思うと、ぷっと桃城が吹き出した。
「何言ってんだよ、マムシ!!」
ケラケラと笑うも桃城に海堂は少しむっとした。
笑い終わり、ふぅとため息を着いた桃城はまっすぐな瞳で口を開いた。
「例え掟でそう言う風にされたら、俺はどんなことをしてでも、お前に会いに行く」
海堂は半ば諦めていた回答が聞こえてきて、少し驚いた。
「山だろうが川だろうが乗り越えて…そんで、俺に会いに来たお前と合流して、一生一緒に行られる場所に逃げる」
海堂は自分で振っておいて、そんな嬉しい回答が返ってくるとは思わなかった。
確かに、自分も桃城を求めて掟なんて破る。
「お前らしいな」
ふっと笑って呟くと、桃城は豪快な笑顔で
「当たり前だ!!」
と言った。
そうだ、と海堂は思った。
桃城は幸せを待ってるようなヤツじゃない。
幸せを掴もうと努力するタイプだ。
そしてそれは自分も同じ…。
「なぁ海堂」
「ん?」
「お前ってずいぶんと乙女思考なんだな…」
少し苦笑いをしながら桃城は言った。
「だってよぉ…七夕近いから、そんな事言い出したんだろ?」
海堂は不思議に思いながらも、首を縦に振る。
「だからなんだよ…」
「その話にロマンを感じるのは女子ぐらいじゃねぇか…?」
そう言われて海堂は少しムッとした。
「じゃぁ訊くが、その乙女思考のヤツに抱かれてんのはドコのドイツ様だぁ?」
と喧嘩腰に言うと、どうやら桃城もカチンと来たようで、海堂を睨みつけた。
「あんだとマムシ!!」
「事実を言っただけだろうが…!!」
睨み合う桃城と海堂、そんな二人が恋人同士なんて誰も想像着かないまま、夜は更けていくのでした。

The end
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