青学

□T.R.A.P
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「桃先輩って、海堂先輩の何処が好きなんスか?」
「はぁ!?」
いつもの部活帰りのバーガーショップで桃城は急に質問され、大声を上げた。
「な、なんだよっ!!急に!!」
瞬く間に顔が赤くなっていく桃城を見て、越前は心底楽しんでいた。
この人がこんな顔をするのはこの話題しかない。
「何となく、知りたくなったんスよ」
桃城はここに菊丸がいなくて良かったと思った。
きっと、この話題に悪ノリしてきただろうから。
「まぁ、どうしてもって言うなら教えてやらないこともないぜ」
少し偉そうに言えば気が変わるかと思ったが、桃城が思うほど、越前は単純ではなかったようで、
「分かったッス、いいから続けて下さい」
とさらりと受け流されてしまった。
少し落ち込むと同時に、海堂の好きなところを探す。
「えっと…それなりに格好良いし、可愛いところもあるし…甘えられると、放っとけねーっつーか…」
「何それ、結局最後は全部好きとか言っちゃうクチっスか?」
呆れ顔で越前が言うと、桃城はさらに顔を赤くした。
「うっせーな!!だったら聞くな!!」
顔が熱くて沸騰しそうな桃城とは違い、越前は冷静に口を開く。
「無理ッスよ、海堂先輩に頼まれたんスから…ね、海堂先輩」
越前がそう言うと、後ろから聞き慣れた低い声が聞こえた。
「まぁな…」
少し恥ずかしそうな声に桃城が振り返ると、そこには話題の恋人が立っていた。
「ばっ!!何しょーもないコト頼んでんだよ!!」
さらに顔の赤さが増し、桃城は腕で顔を隠そうとした。
しかし、そんな桃城の腕を海堂が掴み、動けなくする。
「いいじゃねーか、お前の気持ちが知りたかったんだし…それに…」
海堂はそう言って真っ赤な桃城の耳に口を近づけた。
「俺もてめぇの全部が好きだぜ」
恥ずかしげもなく聞こえた言葉に桃城は海堂を思い切り押し飛ばした。
「うっさい!!黙れ!!マムシ!!半径1m以内によるな!!」
そんなラブラブなコントを見せつけられた越前は、頼まれるんじゃなかったなんてため息をついたとさ。

The end
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