六角

□悪夢を見ないおまじない
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「サエさ〜ん!」
朝練前、葵が佐伯の所に泣きながらやってきた
「どうしたの?剣太郎?」
と佐伯が言うと
「今朝、怖い夢みたんだよ!お化けが追いかけてきたんだ!」
と抱きついた
「確かにそれは怖いね…」
葵の頭をよしよしと撫でながら彼は苦笑いをした
すると、佐伯は優しく剣太郎に囁いた
「俺が怖い夢を見ないようにするおまじないしてあげようか?」
「え!?なにそれ!?サエさんそんなの知ってるの!?」
剣太郎は泣いていた顔をガバッと上げると、してして!と佐伯から身体を離し、ぴょんぴょん跳ねた
「じゃぁ、目をつぶって」
「え?…うん」
剣太郎が言われた通りに目をつぶると、佐伯はクスッと笑った
そして……

チュッ

わざと音を立てて額にされたキスに剣太郎はびっくりしてその場に座り込んでしまった
「剣太郎…?」
「さ、サエさん…それがおまじない?」
顔を真っ赤にしながらそう聞くと、佐伯は笑顔でうんと頷いた
「これで見ないでしょ?」
と聞かれ、剣太郎はそうだけど…
口ごもってしまう
すると、遠くから黒羽の声がした
「けんたろ〜!そろそろ練習始めようぜ!」
剣太郎は慌ててたちあがり、黒羽の所に走り出す
少し走ると、佐伯の方へ振り替えた
「あ…ありがと…サエさん…」
顔を真っ赤にして言った剣太郎に佐伯はうんとさわやかに微笑んだのだった

The end
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