そのほか

□Thanks!2万HIT
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ベルフェゴールの肩を掴んで力任せにベッドから引きずりおろそうとしても、スクアーロの願いは簡単には叶わない。

スクアーロは焦っていた。
隼人しかいないはずの寝室に彼がいては、これからここに来るだろう彼らのボスの怒りを買うことは必至。
せっかくの朝からそんな騒ぎをおこしたくはない。
そもそも、ボスの怒りの矛先は大抵スクアーロに向かってしまうのだから、それを避けたいと思うのは当然のことだ。

「隼人、おはよう」
「ん、はよ」
スクアーロとベルフェゴールが隣で騒いでいる間にも、マーモンと隼人は仲良く頬にキスしあって朝のあいさつをほのぼのと済ませていた。



「おはよう!隼人ちゃん、お目覚めかしら?おめかしの時間よ」
語尾にハートマークをちらつかせながら部屋に踏みいれたオカマのルッスーリア。
その逞しい腕にはこの部屋の装飾にも負けず劣らずのひらひらビラビラなドレスが抱えられていた。

「ルッスーリア…」
可愛らしい隼人の口元が引きつる。
もちろん隼人は男の子だ。
ごつごつしたシルバーアクセが好きだし、ひらひらなんて邪魔になるだけだと思っている。

それなのにどうして自分の周りはそろいもそろってこうなのか。
「あ、隼人着てみて!絶対似合うって」
「僕が髪飾りをつけてあげるよ」
「う゛お゛ぉぉお!?すげーぞ!隼人、着てみろぉ」
「ね、ね?素敵でしょ」

「…素敵なのはわかるけど」
上質な生地に、惜しみなく使われた美しいレースと凝ったデザイン。
素人目にも高級な品だとわかるそのドレスを、だからと言って男の隼人が着てみたいと思うわけもない。

「今日はボスとのお出かけじゃない。ボスの隣に並ぶなら最高の姿でって言ってたでしょ?」
うきうきと話すルッスーリアの言葉は間違いではなかった。
ボスの隣にあるなら完璧を、と隼人は常に思っている。

今日は任務で2人きりの敵状視察の予定だ。
ボスと歩くなら恥ずかしくない格好をとは言った。
だからといってなぜドレスをもってくるのか。

「目立ちすぎるだろうが」
「あら、ボスと並ぶならこれくらいじゃないと!」
ボスが目立ってて隣が地味じゃ格好がつかないでしょう、と言われれば確かに地味な格好をしているボスなど想像つかない。

「ね?ほらほら、鏡の前にいらっしゃい。髪を梳かしてあげる」
呼ばれるままにイスに腰かけてルッスーリアに髪を撫でつけてもらいながら鏡にうつった室内を眺めれば、嬉々とドレスを広げているベルフェゴールとそれを追いかけるスクアーロの姿。

「まったく、朝から騒がしいよね」
呆れたような声は膝の上から聞こえた。
「マーモンも一緒に遊んでこればいいのに」
そのまるい頭を撫でながら隼人が笑いかければ、あれは遊びじゃないんだよとかえされた。
遊びでなければなんなのだと首をかしげれば、後ろでルッスーリアがくすくす笑う。

そんないつもの日常の中、愛すべきボスの怒号が響くまであと5分。

ベルフェゴールとスクアーロがボスに追いかけまわされているうちに、ルッスーリアによって美しく着飾った隼人がみんなの前に現れるのがそれから少し経ったころ。
それに機嫌を良くしたボスが、仕事も忘れて隼人と丸一日デートをするまでの朝の風景。

ドレスなんて、と嘆く隼人はボスや仲間の喜ぶ姿に幸せを感じて笑顔をつくるのだ。



ボンゴレ独立暗殺部隊ヴァリアーの朝は今日も平和にすぎていく。



【我らのプリンチペッサ】

愛しい笑顔のために必死で生きてるような感覚さえも幸福だと想える

'08/4/16



【20000HIT第3弾】
お待たせいたしました!

ヴァリアーな隼人でしたがいかがでしょう?
最後までボスがでてきませんでした。
あれ?だってはじめから「ボス」はでてきてたのに…。
(でもあれです!このあと隼人とデートですから♪)

愛すべきおバカさんなザンザスは隼人のためにできる限りの可愛らしい高級品を集めてみたり、隼人に似合う洋服を買い占めてみたりと大忙しで毎日幸せにすごしてます☆
隼人に似合うと思ったらなんでも買います(笑)
(隼人も、ボスのためなら女装くらいなんのそのですよ!)

あのあともザンザスは隼人とのデートにるんるんでいろんなものを買い与えたことでしょう。
ボスがはしゃぎすぎて騒ぎをおこすことと、連れまわされる隼人が心配でみんなはあとをつけていきます♪(仕事しろ!!)

ヴァリアーが毎日あんな調子だったらボンゴレも平和でしょうね☆

ちなみに隼人のベッドに潜りこむメンバーは日替わりです(笑)
スクアーロもなんだかんだ、よく添い寝してます。
マーモンもザンザスも常連♪
なんて羨ましい人達なんでしょうねぇ。

タイトルの「プリンチペッサ」はprincipessa(イタリア語)「お姫様」の意です。

20000HIT本当にありがとうございました!
これからもよろしくお願いいたします。

【緋斗弥】


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