そのほか

□Thanks!2万HIT
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「一週間だ。オレは恋人どころか、右腕としての君とすら触れあってない!会話もなし!もう我慢できないの!!」
そのまま勢いで頭を掻き毟りそうな綱吉の様子に隼人の頬はさらに赤く染まる。

「もうダメだ。隼人欠乏症だよ、完全に」
抱きしめられたと思ったら、さきほどまで座っていた後ろのソファーに押し倒されてしまう。
綱吉の行動に怒りなどまったくないとわかった隼人は、もうなんの誤解もしなかった。

「ここで一緒にと言うのは、つまり」
「恋人として!オレとお休みしてればいいの、隼人は」
「今日一日?」
「まさか!隼人がオレを忘れてた一週間の穴埋めしてくれなきゃ許さないから」
「10代目を忘れたことなんて一度もありませんよ。あ、オレの机にある書類だけでも」
「ダメ。紙きれなんかに隼人を独占されたら堪んないよ」

はっきりと意思を主張しているわりに、隼人が迷惑してはいないかと窺うような視線を向けてくる綱吉に笑みが漏れる。
ボスとしても恋人としても、いったん言いだしたらもう何を言っても聞かない人だということを隼人は知っていた。
綱吉は本当に自分を独占する気なのだろうと思えば、それは迷惑どころか嬉しすぎて泣いてしまいそうなほど幸福なことで。

「外部との連絡だけはとらせてくださいね」
綱吉のプライベートルームにはボンゴレ本部直通の電話が完備されている。
通信手段さえ確保できていれば外界から隔離された空間でも対処できるだろう。

危険な事態になれば綱吉だって無理は言えない。
一番のトラブルを解決したばかりで、そんな心配はほとんど必要ないことだということも隼人はわかっていた。
だからこそ綱吉もこれを実行したのだろう。

「えぇ!?」
「えー、じゃありませんよ。なんの情報もなく一週間も休暇を楽しんでたらオレ達ウラシマ太郎になってしまいます」
分刻みで世界の情勢は動いているのだ。
入手しそびれた情報がこのさき大きな障害に繋がってしまうかもしれないのだから、ここは譲れない。
当然、それを十分わかっている綱吉が本気で文句を言うはずがなかった。

「それはいいけど、長電話禁止ね!」
「はい」
「リボーンになに言われても簡単にオレを置いて部屋をでちゃダメだから」
「もちろんです」
「この一週間で誰かに変なことされなかった?」
「変なことなんて」
「隼人は危機感足りなすぎなんだって。特に守護者のみんなには注意してよ?隼人は可愛いからすぐに狙われちゃうんだ」

押し倒されたまま嬉しさを素直に顔にだしてした隼人が、ゆっくりと綱吉を押しかえして起きあがりソファーに座りなおす。
隼人を見つめながら綱吉も腰をおろした。

「それを言うなら10代目こそ、お強くて聡明なあなたをいったいどれほどの人が恋慕の眼差しで見つめているか」
「冗談!オレなんかに君が惚れてくれたことだって奇蹟なのに」
「それこそ冗談ですね。あなたのような素敵な方がオレのボスで、オレを恋人に選んでくださったことほどの奇蹟はありません」
「バカにしないでよ。君の美しさといったら本当に言葉で表すことなんてできないくらいで、なに?花の妖精?天使?」

「ではあなたは神ですね。全能で凛々しくて、あなたほど頼れる方はいない」
「隼人ほど頼れる人いないじゃないか!いつだってオレは助けられてて、それにすっごく優しくて、賢くて」
「お優しいのはあなたです。あなたの優しさに触れたことでオレがどれほど救われたか、知らないでしょう?」
「君だって知らないんじゃないのかな。隼人が大丈夫ですって微笑んでくれるだけでオレがどんだけ幸せかとかさ!」
「幸せと言うなら…」



喉が渇いてきたとか、空腹感を思い出したころには太陽も真上にいて、お昼にしようと言うことで一時休戦。
実質的な話をすれば本当に一週間も何もせずに休んでいられるはずはないのだから、時間を無駄にしてしまったような気持ちは多少あった。
隼人の予測では優秀なヒットマンが見過ごしてくれるリミットは3日といったところ。

それでも、いまの言いあいには両者とも満足していた。
恋人とあうことができなかった一週間を埋めるような愛しい言葉の羅列。
冷静になってみれば恋人の優れたところを褒めつづけていたわけで、どちらがどれだけ相手に惚れこんでいるかという自慢話で午前中を終えてしまったことになる。
ここに第三者がいたなら呆れてしまうような痴話ゲンカに聞こえただろう。
本人たちにケンカしているつもりは欠片もなかったが。

「お昼ご飯もってくるから隼人はちょっと待っててね」
「それくらいオレが」
「ダーメ。この一週間、隼人がオレを甘やかしたんだから今度はオレが甘やかす番だ」
「そ、そんなつもりは」
「なかったって言える?ほら、ちゃんと休んでて」

立ち上がりかけた隼人を肩にそっと手を置いて、額にキスをおとしてから綱吉は部屋をでていった。
その後ろ姿を眺めてから、ふうっと息を吐いて背もたれに身体を預ける。

「お気づきだったのか…」

優しいボスが心を痛めないようにと、不安要素を根こそぎ潰して報告は万全のものを伝えた。
情報操作はしていないが綱吉に渡った情報がすべてでもない。
綱吉が直接動くほどのことではなかったのは本当だ。
だから綱吉が自ら行動をおこそうと思うような報告は避けた。

それを甘やかしているとは、隼人は思わない。
ボスを危険にさらさないように配慮しただけのこと。
そのために少しだけ隼人が頑張っただけなのだから。

最近無理をしていた恋人が心配で、これ以上の負担をかけたくなかったのは隼人の心の中だけの秘密だったのに。

「超直感て、侮れないぜ…」
「それは少し違うかな?」
「じゅ、10代目!?」
扉の前でにこにこしている綱吉は、驚いて翡翠の瞳を見開いている隼人の可愛らしさにうっとりしながら内緒話のように囁いた。

「愛の力だよ」



【すべてはその力によるもの】

君にあいたいと思うのも、君の想いがわかるのも

'08/4/5



【20000HIT第2弾】
お待たせいたしました!

「空回るくらい隼人が好きすぎるツナ」で綱獄です。
10年後設定で♪

本気で、隼人を独占できなかった一週間ぶん独占する気です。
残念ながら隼人の読みどおり4日目に家庭教師様が乱入してきます(笑)

隼人が自分のために必死で頑張ってるのがわかっていたから綱吉は我慢してたけど、他の守護者とばかり行動してることに内心穏やかじゃなくていつもの微笑みにも威圧感がでたりして、毎日隼人の言葉を代弁に行っていた隼人の部下は日増しに強くなるボスの威厳に最終日あたりは膝を震わせていました。
一週間で事態が解決してよかったね♪
(これ以上長引いたら、我慢しきれなかった綱吉が本気で監禁まがいなことを仕出かすところでした!!)

だっていつもは10代目の傍を離れない優秀な右腕なんです。
毎日のように隙あらば隼人を抱きしめたりキスしたりしてたんです。
一週間もお預けされたら綱吉は我慢できません!
隼人は我慢できるのに、困ったボスですね(笑)

20000HIT本当にありがとうございました!
これからもよろしくお願いいたします。

【緋斗弥】


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