詩集★歌集★五七五

□「こんなもんじゃ」
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「こんなもんじゃ」

山崎方代 著
文藝春秋 


山崎方代(ホウダイ)の歌集です。
四百十三首の短歌で構成されています。

台東区の御徒町にある公園に「なんじゃもんじゃ」という木があります。
八重桜も散る頃、ひらひらとした白い花を咲かせる木です。
関東では珍しいような「なんじゃもんじゃの木」は、歌人 山崎方代の故郷、山梨での想い出の木であるそうな。

山崎方代は、1914(大正3)年、山梨県に生まれ、23歳で母を亡くし、27歳で出征しています。
が、29歳の時に戦地で砲弾片を浴びてしまい、右目を失明、左目も0.01の視力となってしまいます。
1985(昭和60)年、70歳で亡くなるまで、生涯、独身を通し、歌人であり続けた人だと言われます。

日々生きていくということの孤独な闘いを、いみじくも、いとも滑稽に歌い上げていくのです。それはまるで、ナルシスティックに吟游歌人気分を楽しんでいるかのよう。

散文調タッチの歌の数々は、短歌とは思えない身近な味わいとほっこりとした温かさに包まれた歌ばかりです。


手のひらに
豆腐をのせていそいそと
いつもの角を曲がりて帰る

生まれは甲州
鶯宿峠(オウシュクトウゲ)に立っている
なんじゃもんじゃの股からですよ


2003.6.30 初版発行
\1,300



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