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□箱庭
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 …いかないで…
『貴女を捨てる事を許して』
 …泣かないで…
『ごめんなさい』
 …謝らないで…
 離れて行く影と温もり、影は遠くなり視界は闇に染まる。



 …いかないで…



「「…かわいい…」」
 ぎゅっと頭を抱きしめられて、聖寿は目を覚ました。
 ベッドの脇に同じ顔が2つ。優しげな爽やかな風貌の金色の目を持つ神夜と、艶やかな華奢な風貌の真紅の目を持つ神楽だ。
 左から神夜が聖寿を抱きしめ、右から神楽が聖寿の頭を撫でる。
「…に、さまたち?」
 夢うつつに双子を見る聖寿に神夜の口元が弛む。
「もぅ少し寝せてあげようかと思ったのに…聖寿が俺の手をギュッて握って『いかないで』とか…」
 メロメロになりながら神夜が発した言葉に聖寿が顔を歪めると、神楽はドカッッと良い音を立て神夜を殴り飛ばした。聖寿を胸に奪回する事も忘れずに。

「…バカグヤが起こしてごめんな、僕の聖寿」
「か、神楽兄様、神夜兄様大丈夫?」
 目をまん丸にしてビックリしている頬にキスすると、
「大丈夫、死にゃあしないよ。あれでも魔族で僕の家族だから」
 ぎゅぅぅーっと抱きしめられて聖寿が華のように微笑むんだ。
「私も…」
「聖寿は僕の妻になって」
 

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