∽「ココロノイロ」で15のお題∽
<ホミン編>
1 「“幸せ”ということ」
「…なぁ…、」
「……」
情事後の微睡…。
ゆったりと、ゆっくりと、
流れのままに、
飲み込まれようとしている僕に、
掛けられる、声…。
「…なぁ、チャンミン…?」
「……」
「…チャンミナぁ〜?チャンドルぅ〜??チャンド〜ラぁ〜…???」
……五月蝿い。
「なぁ〜…って
「何ですかっ…?」…ナンデモナイデス、ゴメンナサイ…。」
………鬱陶しい。
「…言いたい事があるなら聞きますから、手短に。」
「…怒ってない…??」
「……」
「…チャンドラ…?」
「…“手短に”って、言いましたよね…?」「はい、ごめんなさいっ!!」
「…で?…何なんですか…?」
声のトーンを和らげ、
包まれている腕の中から上目遣いに見上げれば、
一瞬見開かれたアーモンドアイが、
甘く、優しく、溶ける…。
…不覚にも、鼓動が跳ねて…。
気付かれないように、
眠気に襲われている振りをして、
その人の…ユノの胸に顔を寄せる…。
…自然と、護るように、
柔らかく抱き込んでくれる両腕…。
…心地良いその温もりに、
本当に、眠くなってしまった…。
「…なぁ、お前、今、幸せ…?」
「……はい……?」
「だから、今、幸せか…?」
「…何故、今、そんな質問を…?」
「うん…?いや、俺は今、幸せだからさ…。」
「…幸せだど、そんな質問を…?」
「うん…。ほんと、幸せだなぁ〜…って思ってさ…。
そしたら、無性に、お前の気持ち、聞きたくなった。」
「…ああ、そう…ですか…。」
…いっそ、本当に、眠ってしまおうか…。
「…なぁ、どうなんだよ…?」
「…聞かなきゃわからないんですか…?」
「わからないとかじゃなくて、聞きたいんだよ…」
…20も後半になった男が、
こんなことで拗ねないで下さいよ…。
「……幸せですよ?」
「本当に…?」
「…少なくとも、他の誰かとこうしていたい…と、
思わない程度には、幸せです。」
「…なんか、微妙な返事だな…。」
苦笑しつつも、一応、満足がいったのか…。
廻されている腕の力が緩く、強まる…。
…再び、襲ってくる睡魔…。
今度こそ逆らわず、
僕はその波に身を委ねて…。
…意識が途絶える寸前、
聴こえてきた“「愛してる」”の言葉と、
伝わってきた、髪に落とされる唇の感触…。
…胸の奥が暖かくなる感覚に、
“ああ、幸せだな…”と、思った…。
1 「“幸せ”ということ」
2012/12/22
END