† TREASURE †

□† 『スノースマイル』 †
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だんだんと吐く息も白くなってきたこの頃。

季節が変わっていくのを体感する。


冬が好きだ。

この寒さも今は愛しい。




本当、寒くて良かったって、



実感する。





「あぁ〜…さむぅっ…」


はぁっと微かに赤くなった指先に息を吹き掛ける。

寒がりなヒョン。

指を擦り合わせる仕草はカワイイ以外、
表現出来ない。

こんな光景、毎年毎年お馴染みだ。


ゴソッと大きめのポケットに
右手はスタンバイしてる。


だって。



「…ん。」



ヒョンの目の前に手を差し出せば、

柔らかく笑って
僕の手を左手で握り返してくれる。


そしてそれを、


僕のコートのポケットに招き入れる。


グッと近くなる距離に、体温も少し。
さっきより、側に感じて。



「ねぇ、ヒョン?」

「ん〜?」



ニコニコと僕を見上げる愛しい人。

この時間が、

空気が、大切だ。



「…寒いならどうして、手袋とかしないんですか?」



意地悪ですか?


でも、自惚れさせてくださいよ。



「ん〜…」



ふふっと、優しく笑い



「だって…


(キュヒョナが手を握ってくれるから)

「キュヒョナがポケットに入れてくれるでしょう?」





…あれ?



僕が思ってた答えと若干ニュアンスが…。



じっと僕を見上げて、更に一言。




「僕の特等席でしょう?」





あぁ。確信犯ですか、ヒョン。

計算ですか、ヒョン。




でも。



毎年毎年。


これからも手袋、しないでくださいね。



特等席、


開けておきますから。







本当、冬が寒くて、良かった。











fin.
2012/11/1



 

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