Novel Tales
□堕ちていく、あなたのてで
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火照るカラダ、灯る熱、
あなたの て。
「ぁ・・・たい、さ」
「今だけは−−−ジェイドと呼んで下さい、アニス」
あなたから逃れる術などありはしないのに。
『堕ちていく、あなたのてで』
熱く火照る身体をベッドに横たえて、あたしは彼を待った。
火照りを冷ましてくれる、唯一のひと。
早く−−−早く、来て。
でないと、熱でおかしくなってしまいそう。
「アニース☆待ちましたか?」
「・・・大佐、おそい」
状況がまるで分かっていないかのような口ぶり。
まるで、待ち合わせでもしてるみたいな。
待ち合わせなんてものじゃないけど。
「おやおや、顔が真っ赤ですよアニス、何をそんなに照れてるんですか?」
「・・・分かってる癖に」
わざと不機嫌な態度。
このくらいで動揺するような彼ではないけれど。
そんなあたしの気持ちを知ってか知らずか、
いきなりボタンに手をかけられ、服を脱がされる。
あたしは抵抗しない。
だって、こうしなきゃできないもの。
ひやりと、冷たい感触。
肌が外気に触れたからか、とても冷たい。
ああ、でも
カラダは熱いまま。
「ぁ・・・」
なんだかとても不安で、ついつい呼ぶ。
「たい、さ・・・」
あなたは微笑み返し、
「今だけは−−−ジェイドと呼んで下さい、アニス」
おおきな手があたしの頭を撫でる。
「じぇい、ど・・・」
「・・・・また来ますよ」
いつものような笑顔で、あなたは言った。
「・・・意地悪」
一人、呟いた。
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