立海の物語

□第2話「テニス部」
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莉奈「………」











校舎の横にある桜の木。



他の桜とは違い一際大きく存在感があり、見る者の足を止めてしまうほど。



莉奈もその一人だった。






春の温かな陽気に満開の桜。

心地好い風。


眠気を誘う要素が揃った場所。





入学式も終わり家に帰るつもりだった莉奈は何気なく、その桜の木に近づく。






莉奈「?」






ふと、木の幹から白い髪が風に靡いているのを見つける。



髪を染めている人なら新入生の中にもちらほらいたが白に染めた髪なんて見たことがない。


少女は気になって回り込む。






莉奈「………」




「………」





そこにいたのは白く染めた髪を後ろで一つにまとめた男子生徒の姿。


目を閉じて、時折寝息が零れていた。




回りこんで見つけた男子生徒に莉奈は不思議そうに見つめる。






莉奈「寝てる?」





「見たらわかるじゃろ」





莉奈「!」







閉じていたはずの瞼が開かれ、鋭い目と莉奈の目が交わる。


寝ていた所を邪魔をされたという風に、機嫌がどこか悪い。



莉奈としては何故怒っているのかわからない。


しかし返事をしたということは…。






莉奈「起きてたのに寝てた?」




「……」




莉奈「それとも私が変?」




「…お前さんが変だとしたら?」




莉奈「ごめんなさい」




ぺこりと丁寧にお辞儀をすれば「ククッ」と喉で笑う声。






「変な奴だな」







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