兄神

□そして遅刻
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「かぐらっ!
 学校いこー」

 一ヶ月前ぐらいに私が一人暮らししていた部屋におしかけてきた馬鹿兄貴、名前は神威。バカムイに名前を変えて欲しい。
 こんな風に毎日学校一緒に行こうと声を掛けてくる。
 
 神威は何年も前急に姿を消してまた急に私の前に姿を現した。
 いなくなったときはまだ私は小さかったから体中の水分がなくなってしまうんじゃないか、というほど泣いた。
 しかし神威が姿を現したときは驚いただけであって感動の再会とか、ドラマみたいなかんじは微塵もなかった。
 正直、こんなやつを自分の兄だと認めたくない。
 自分勝手すぎるし、何考えてるのかわからないし、毎日一緒にお風呂入ろうだの一緒に寝ようだの言ってくるし。
 一言で言うと、うざい。

「かぐらー?」

「うっさいアル
 大体お前学校違うダロ」

「ねえ神楽スカート短すぎじゃない?
 兄ちゃんの前なら別にいいけど、
 学校に行くのにその長さは駄目だよ
 あの変態サド野郎にパンツ見られるよ?」

「話聞けヨ」

 ただでさえ神威と一緒にいるとイライラするっていうのに、話を無視されるともっとイライラが募る。
 殴り飛ばしたい衝動をなんとか理性で止める。
 こんなやつでも一応、本当一応だけど私の兄貴。
 殴り飛ばすのはいくらなんでも我慢しなくちゃ。私ならそれぐらい我慢できる。
 そう考えていると、神威はしゃがんで私のスカートに手を伸ばしてきた。

「あ、今日はくまさんパンツなんだー
 高校三年生になってこのパンツはないよ」

 前言撤回。
 我慢できません。

 ドガッ

 豪快な音と共に神威が吹っ飛んだ。
 ついでに私の手もジンジンします。



 そして学校にはもちろん遅刻。




end

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