物置

□過去拍手小咄・壱
10ページ/24ページ


*2010年10月度掲載分*

 



《 秘めたる理由 》

「千本桜さんは面をお取りにはならないのですか?」

緋真が脇に控える千本桜に問い掛けた。
邸外では絶対に素顔を曝す事の無い千本桜だが、邸では時折面頬を外していると聞いていた。
それなのに、同じ邸内に住む緋真は一度も素顔を見た事が無かった。

「はっ…如何なる時も主と緋真様を護るのが俺の役目。邸内と雖も二人の側では常に戦闘態勢で臨んでいる故」

緋真の問いに緊張した声で嘘ではないが本意でもない事を答えた千本桜は、面の下でチラリと緋真の隣に座す白哉を見た。
主である白哉は、その視線に気付いていながら無関心を装うばかり。

…………………

「緋真の前では面を外すな」

斬魄刀の実体化が常態となってすぐ、千本桜は白哉からこの厳命を下された。

「何故だ、白哉?」

千本桜の問いを白哉は黙殺した。

…………………

「―――と云う訳なのだ。白哉の思惑が俺にはサッパリ分からぬ」
「…まあ。白哉様にもそんな一面がおありなのですね」

千本桜の小言を聞き、察しの付いた袖白雪はクスッと笑った。

――― 千本桜(あなた)の素顔に緋真様が見惚れるかもしれないと、ご不安なのですよ、白哉様は ―――

その理由を語らないまま、袖白雪は千本桜を優しく宥めてやった。



fin



千本桜の手の甲が分からない…捏造でスミマセン!!←汗
 
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ