鰤二次文(短編)

□†I'm by your side.
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隊務から戻った白哉は着替えを手伝っている緋真に話し掛けた。
「清家から聞いているだろうが、明日は当家直下の農地へ参る。」
非番であっても朽木家当主としての務めがある白哉。
勿論、緋真は妻として当主の予定は全て把握している。
「はい、日の出と共に豊作祈願の祝詞を上げられるとお聞きしています。準備は整っていますが・・・白哉様がお身体を休める暇(いとま)もない事が緋真は心配です。」
「案ずるな、私に差し障りはない。それより、明日は夜明け前に出立する事になるが祈願には女は同席できぬしきたり故、緋真を連れて行ってやれぬ・・・済まぬな。」
それは緋真も解っている事だが、白哉の気遣いが嬉しかった。
「だが、午(ひる)までには戻る。その後は空いているが・・・一緒に庭の散策でもするか?」
白哉の誘いに緋真は目を丸くする。
「・・・白哉様すごいです!なぜ私の考えていた事が分かったのですか?」
素直に驚く緋真の耳元に白哉は顔を寄せると囁くように返した。
「私がいつも緋真の側で緋真を見ているという証だ。」
緋真は頬を染めて小さく呟く。
「はい、よく存じております・・・」


 
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