小説
□‥
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時は経ち、僕と母は日本を訪れた。
電車に乗り、外を眺めるとイタリアには無い景色が鮮やかに目に映る。
ずっと外を眺めている僕に母は言った。
「ねぇ、骸。覚えてないかもしれないけれど‥‥貴方はまだ幼い頃に日本を訪れたことがあるの」
「‥そうなのですか?」
僕は母を振り返り、首を傾げた。
「今から向かう黒曜町に行けば‥分かるわ‥」
母は優しく微笑み僕の髪を撫でた。
「こく‥よう、ちょう‥‥」
まだ知らない町の名を、一文字一文字確かめるように噤んだ。
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