□気持ちの整理



「じゃあ」


スッと手をあげた、その後ろ姿を私は見送った


じゃあという言葉は私たちの終わりをつげた


涙が出た


ずっとずっと一緒だったのに...



もうだめなの…?



「なにしてるん?」


誰かに声をかけられた
独特の低音ボイスと関西弁
私はその人物を知っていた



『…忍足くん?』


「なんで泣いてるん?」


忍足くんはそう言って私の涙を綺麗な人差し指で拭った



そんな優しく暖かい温もりが、私の鼻の奥を痛くしてさらに涙は溢れた


「よしよし」


忍足くんは子供をあやすように私の頭を撫でた



そんな優しさに甘えるように、全てを吐き出すように泣きつづけた



「もう平気か?」



泣き終わった時、忍足くんは言った



『だいぶ楽になったよ』



「せやったらええわ」



忍足くんはちょっとだけ笑った


そして真面目な顔をした



「ベタな話やけど、してええ?」


『え?』


「俺じゃダメなん?」



何を言ってるんだと思った


「俺にしといてぇな...」


今度は忍足くんが泣きそうな顔をしていた


その顔が私の胸を締め付けた



『気持ちの整理
…してからでいい?』


「もちろんや、待ってるから…好きやで」





いつかはちゃんと忍足くんの胸へ飛び込める気がする


ただこの傷を癒すまでは...





end

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