Long

□17th
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例の集団が、肉眼でも捉えられるところまで近づいてきた。


「みんな、いつでも動けるように。」



皆本がそう言うと、チルドレンの3人は息ぴったりで了解!と言った。



「渚さんは少し危険かもしれないんだけど…」


「えぇ、わかってます。」


3人は能力を1つしか持たないのに比べ、渚は複合能力者。


いくら彼女たちのチームワークが素晴らしいと言えど、自分を庇いながらの動きではフォローに限界がある。


だから渚が先頭を切る。


何かあってもすぐに対応できるように。



それは、彼女も皆本も充分にわかっていることだった。



何かあれば真っ先に渚が動く。


それをしっかりと頭において、影から彼らを見る。


「来たぞ。」


ついに彼らがこちら側に降りてきた。



それなりに距離があるため彼らはこちらの存在に気付いていない。


10人程の集団である彼らは、集まって何かをし出した。



「……………」


考えていることがわかれば誰だかわかるだろうか。


そう思い、可能性に賭けた渚は精神感応能力を発動させた。



「……ッ皆本さん!」


「何かわかったかい!?」



「…あの人たち、全員エスパーじゃありません……」


「な…!」


行動を視るつもりだったが、同時に流れてきた彼らの情報。


相変わらず鮮明ではないが彼らに超能力が備わっていないのは確かに読み取れた。



だとすれば、予定された時刻に能力が開花するのか。


わからないことだらけで頭が痛くなる。


「…能力が開花される前に何とかしないと……」



「私、接触してきましょうか?」


「ッそれは…」


「大丈夫です。」



「……気を付けて。」


小さく微笑んで、渚は行ってしまった。






「っ…ダメだ。」


「え…?」


渚が飛び去ったあと、薫が呟いた。


「渚ちゃんを行かせちゃダメだ…!」


彼女の言葉の意味が理解できず、皆本は首を傾げる。



「一体どうし…」


「わかんないけど、行かせちゃダメな気がする!」



「…ウチもさっきから嫌な予感する……」


「私もそう思う…早く、早く連れ戻さなきゃ…!」


3人が同じことを言い出せば、彼も何かあるのかと思い始める。


「エスパー同士だからこそ何かわかるのかもしれないけど…」


既に渚は念動力を使って遠く離れたところにいる。


今連れ戻しに行ったりすれば、敵に見つかり彼女が受けるダメージはさらに大きくなるかもしれない。



4人が不安になっている中、敵に接近するという危険を感じながらも渚は徐々に彼らとの距離を縮めていった。



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