Long

□13th
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地図はもらってある、位置は確認できてるし忘れ物もない。


「…いってきます!」


気を引き締め、渚は今日から通う高校へと向かった。


といっても瞬間移動なんだが。






学校に着くと、同じ服を着た生徒がたくさん目に入った。


制服を着ているという至極当たり前のことなのだが、それすらも初めて見る光景で新鮮だった。



柏木が渡した紙袋の中に入ってたメモには、着いたら校長室へ行くように書いてある。


他の生徒と同じように昇降口から入り、渚は群れと外れて校長室へ向かった。



「失礼します。」


「おお、渚クン!」


「は?」


校長室にはいるはずのない人物、桐壺がソファに座っている。



「貴女が岡崎さんですか?」


「あ、はい。」



奥にいた人物に尋ねられた。


おそらく校長だろう。


彼女は校長に頭を下げて桐壺の傍へ駆け寄る。


「何でいるんですか!?」


小さい声で訊いてやると、彼はニコニコしながら答えた。


「渚クンの保護者として来たんだヨ。ここはバベルが関係してる学校でもあるしネ。」


確かに保護者は必要かもしれないが。


渚は小さく溜め息をついた。


「岡崎さん、そちらの方が貴女の担任です。」


「伊吹です。よろしく、岡崎さん。」


「よろしくおねがいします。」



入り口付近に立っていた女の人に挨拶されて、挨拶し返す。


「それじゃあ岡崎さん、教室へ行きましょうか。」



促されて校長室を出た。


彼女についていくと、ある教室の前で止まり渚に振り返る。


「他の生徒に説明するから、合図したら入ってきて自己紹介して。」



そう言って彼女は教室に入っていった。



窓から覗いていると、しばらくして合図がくる。



緊張しながらも扉を開け、中へと脚を踏み入れた。



「岡崎渚です、よろしくお願いします。」


挨拶と同時に頭を下げる。


「じゃあ岡崎さんも席について。席は…あそこね。」


指差されたあたりに1つ空席を見つけ、それなんだと認識した。


一番後ろで窓側から3列目。


何故端じゃないのかは誰にもわからないらしい、転校生は大体目立つところに座らされるんだそうだ。


そこへ急ぎ足で行き、そっと席につく。



「こんにちは。」



「あ、こんにちは。」


渚が座ると、隣の席の子に話しかけられた。


銀色で少し長めの髪、白い肌の持ち主でとても綺麗な子だった。



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